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真夏の夜の和ハーブ小話

真夏の夜の和ハーブ小話

夏の闇夜に

一日の終わり。太陽色をしたヤブカンゾウの花が小さく折り畳まれると、夜がやってきます。「夏は夜(が良い)」と『枕草子』に書いた清少納言にならって、私も夏の夜時間を味わってみたことがあります。月明かりの夕べはいうまでもなく、むせかえるような夏の夜の雨もまた、“いとおかし”な風情でした。
さらなる発見もありました。もし新月の闇に行き交う蛍の姿が見えなかったとしても、そこにカラスウリの花があったとしたら、天に咲く星々のような世界を見せてくれるということ。そして甘い香りの方角を辿って闇を追ったら、そこにはクサギの花が咲いているかもしれないこと。どちらの花も白く、内側からぼぉっと発光しているように存在を表してくれます。闇夜の中で思わず、心がわくわくと躍り出すようでした。
まだまだ猛暑の予報が聞こえてきます。日が沈んで涼しくなった道々のハイクは心地よいものですが…お出かけの際はできるだけ歩き慣れた場所を行くこと、そして足元や周囲にもどうぞじゅうぶんにご注意ください!

夜道に咲くカラスウリの花

クサギの白い花は…

クズの花と根

 夏も中盤には、クズ(葛)の花を見つけることが楽しいです。葉の裏に隠れるように咲いているので、うっかりすると見逃してしまいますが、ブドウのような甘さが湿った熱風に漂ってくるのでそれとわかります。
クズといえばその根が薬用で「葛根(かっこん)」と呼ばれ、漢方処方に使われることでも知られています。ただし、根が太くしっかりと土中に埋まっていて掘り起こしが難しく、水に何度も晒すデンプンの精製加工に手間がかかることから、上質な葛粉は貴重です。今ではスーパーマーケットなどで葛粉を手に入れることができますが、ラベルを見ると馬鈴薯粉などとミックスされているケースもあります。ぜひご自身の目でお好みのものをお選びください。
葛粉は天ぷらをカラッと揚げられますし、風邪の引き始めにはお湯で溶いて温かい葛湯にしていただけば、寒気や熱をとってくれます。一年を通じてキッチンに置いておきたい和ハーブ素材です。

ハマナス香る冷やし葛練り

クロモジの枝で作った爪楊枝を添えて

今回は葛粉を使って、夏の涼やかスイーツを手づくりしました。バラのような香りと柑橘の酸味、砂糖を使わずアマチャ(甘茶)の自然な甘味と風味を生かして、ちょっと大人の味に仕上がっています。
ほんのりピンクは“和のローズ”ハマナスの天然色。ビタミンCが豊富で、メラニン色素の生成を抑えたりコラーゲンの生成を促進したりする働きがあります。しかもハマナスのビタミンCは熱に強い性質を持つため、今回のように熱を加えて作る調理にもOK。真夏のスキンケアにまるごと美容でいただきましょう。

<材料> ☆ゴルフボールくらいの大きさで4個ほど
葛粉 50g
アマチャ(葉・ドライ) 小さじ1
お湯 300ml
ハマナス(花・ドライ) 大さじ2
柑橘果汁(カボスやレモンなど) 大さじ1

<作り方>
① ティーポットに分量のアマチャと沸かしたお湯を注いで5分ほど置き、和ハーブティーを作っておきます。
② ハマナスの花弁をミルにかけて、細かくします。少量はトッピング用に残しておきます。
③ 葛粉の分量を量り、①と一緒に手鍋に合わせたら、弱~中火にかけてヘラで混ぜます。
④ 徐々にねっとりとして柔らかくなったら②と柑橘果汁を加え、更に全体を練ります。 ⑤ 全体がまとまったら手鍋を火からおろし、粗熱をとります。 ⑥ 手の平にラップをとって⑤の1/4量を乗せ、きゅっと丸くまとめて冷蔵庫で1~2時間ほど冷やしたらできあがり。

ラップを外して、残しておいたハマナスパウダーや、塩漬けしてから乾燥させておいたサクラの花(※分量外)をトッピングしても鮮やかです。コーヒーや緑茶などホットドリンクとの相性もどうぞお楽しみください。

この記事を書いた人

平川 美鶴  (Mitsuru Hirakawa)

和ハーブライフスタイリスト 
植物民俗文化研究/(一社)和ハーブ協会 副理事長

8月2日“ハーブの日”生まれ。「和ハーブ」と日本人の関わりを、歴史・文学・薬効・自然風土・産業などから調査研究。講師業、商品企画開発、実践ワークショップを通じ、自然の恵みと共にあった先人の尊い知恵を生かし、未来へどう届けるかを考えるメッセンジャー。共著『あなたの日本がもっと素敵になる 8つの和ハーブ物語 ~忘れられた日本の宝物~』(産学社)、『和ハーブ にほんのたからもの』(コスモの本)
一般社団法人 和ハーブ協会(Japan Herb Federation) http://wa-herb.com

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