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にぎやかな秋

にぎやかな秋

日本人のもっとも身近にあった薬草

フウロソウ科に属する Geranium thunbergii 

 お天気に恵まれた昼下がり。この時期の足元では、ゲンノショウコ(現証拠)の群生に出会えます。特別な香りの強さはありませんが、白や紅色の小ぶりな花姿が、ふわりと優しい気持ちにさせてくれます。

 この植物は漢方や中医学ではほとんど使われませんが、長く日本のふだんの暮らしの中で、健やかさを支えてきた「和薬」の代表です。江戸時代の本草学者・貝原益軒の書には、ゲンノショウコを干す風景が江戸の春の風物詩だったとの記述が残ります。
 有効成分のタンニンが下痢・便秘・腹痛によく、“現の証拠にたちまちその効能を発揮する”ことからこの名がついています。花の色が違っても作用は同じ。茎よりも葉に多く成分が含まれています。普段から温かいお茶にしてゲンノショウコを飲んでいれば免疫力アップも期待できます。

紅色の花の開花直前。葉や茎に細かい毛があるのが特徴

 今も日本各地の里山や河原などでよく見かけます。ただし、学名にもある近似種のハーブ「ゼラニウム」はよく知られる一方で、「(煎じて)飲んだ」「実際に見たことがある」という体験をもつ方は少なくなっています。これはゲンノショウコが「専ら医薬品」に該当していて、食品や薬として一般に売買ができないことも遠因かもしれません。

ゲンノショウコのおみこし

 外気が乾燥してくると、果実の繊維も乾いてきます。そしてあるとき果皮が破裂して、くるりん!と反り返り、熟した種子は勢いで数メートルふっ飛びます。威勢のよい果実の様子から、昔の人たちは「みこしぐさ(神輿草)」と呼びました。にぎやかな「ハレ」の場が日常に交じり合い、辺り一面から「わっしょい、わっしょい」と掛け声が聞こえてきそうです。
 そうして個体を増やしていきますから、いちど根付けば年々生え広がります。お庭で育てれば多くの手間も要らず、さっと摘んで身体の調子をととのえることができるので、ゲンノショウコはまさに日本人の身土不二(しんどふじ)の植物だなぁと実感しています。

梨とクロモジのコンポート 香る和ハーブをのせて



 さて今年も秋分を過ぎ、過ごしやすい気候の日が増えてきました。今回はそんな初秋の味覚「ナシ(梨)」にひと手間かけて、和ハーブ香るコンポートを楽しんでみましょう。梨のしゃきしゃきとした歯ごたえとみずみずしさを、しっかり生かして作ります。



<材料> 作りやすい量で

梨 2個
ワイン(白) 70ml
グラニュー糖 60g(使う梨の熟成度によって量を加減してみてください)
水 400ml
クロモジ(ドライの枝葉) 5g
フレッシュ和ハーブの葉 適宜 
 

<作り方> 

1. 梨の皮をむき、軸や種を外してカットします。
2. ワイン、グラニュー糖、水を鍋にかけて沸騰したら中火にして、お茶パックに詰めたクロモジと1を一緒に加え、15分ほどコトコト煮ます。


3. 2を火からおろし、そのまま置いて粗熱が取れたら、液ごとタッパーに移して冷蔵庫へ。
4. フレッシュ和ハーブの葉を添えてサーブします。

 「クロモジ(黒文字)」の奥深く上品な香りと白ワインの風味は、さっぱりとした甘味をもつ梨によく合います。紅茶や和ハーブティーやお酒と一緒にそのままつまんでいただくもよし。ヨーグルトに加えてもよし。クラッカーの上にクリームチーズとこのコンポートを乗せていただいても美味しいです。
 もし手に入るようでしたら、「ハッカ(薄荷)」や「ナギナタコウジュ(薙刀香薷)」の和ハーブの葉を上に添えてみてください。口から鼻へ抜けていく香りが一段と深まります。なお今回の材料には含めていませんが、煮る時にクコ(ドライの果実)を加えて煮ることで、ほんのりと甘酸っぱさが立ち、彩りも加わっておすすめです。

この記事を書いた人

平川 美鶴  (Mitsuru Hirakawa)

和ハーブライフスタイリスト 
植物民俗文化研究/(一社)和ハーブ協会 副理事長

8月2日“ハーブの日”生まれ。「和ハーブ」と日本人の関わりを、歴史・文学・薬効・自然風土・産業などから調査研究。講師業、商品企画開発、実践ワークショップを通じ、自然の恵みと共にあった先人の尊い知恵を生かし、未来へどう届けるかを考えるメッセンジャー。共著『あなたの日本がもっと素敵になる 8つの和ハーブ物語 ~忘れられた日本の宝物~』(産学社)、『和ハーブ にほんのたからもの』(コスモの本)
一般社団法人 和ハーブ協会(Japan Herb Federation) http://wa-herb.com

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