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地球温暖化に森林が果たす役割って何でしょうか?「光合成で二酸化炭素を吸収することでしょ」と答える方もいると思いますが、実はそれだけではなく、もう少し複雑です。
まず、地球温暖化について、そのポイントを確認することから始めます。
現在までに、世界の平均気温は産業革命前よりもすでに1度上昇しています。
この先1.5度、2度と気温が上昇していくと影響がさらに深刻化していくことが懸念されます。
温暖化の影響には、水の問題(海面上昇、水不足、洪水の発生など)、自然への影響(生態系の変化、森林火災の増加、湿地の減少ほか)、暮らしへの被害(農業への打撃、病気や飢餓の進行、異常気象など)があります。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書は、「20世紀半ば以降、観測されている温暖化の主な原因は人間の影響である可能性が極めて高い」と結論づけました。
人間の影響で最も大きいのは、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスの排出です。化石燃料(※)の燃焼がこれらのガスの主な発生源であり、農業からの排出や森林破壊も重要な役割を果たしています。
パリ協定(2016年発効)は、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)です。
「世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏2度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏1.5度高い水準までのものに制限するための努力を、この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるものであることを認識しつつ、継続すること」と記載されています。
日本は、パリ協定締約国であるとともに、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする、カーボンニュートラルの実現を目指しています。
地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の大気中への放出を減らし、さらに大気中から二酸化炭素を取り除くことに取り組む必要があります。
まずは二酸化炭素の大気中への放出を減らすことについて、説明します。
木を切って、燃やしたり、腐らせ(分解)たりすると二酸化炭素を排出することになります。切った後に更新しないことから、発展途上国における森林減少は地球温暖化を加速させるものとして、国際的な問題となっています。これを抑制することが課題です。
森林から生産される木材をエネルギーとして燃やすと二酸化炭素を発生します。
しかし、この二酸化炭素は、樹木の伐採後に森林が更新されれば、その成長の過程で再び樹木に吸収されることになります。つまり、カーボンニュートラルとなり、二酸化炭素を排出したことにはなりません。しかし、森林が更新されないと排出したことになってしまいますので、それを避ける必要があります。
次に大気中から二酸化炭素を取り除くことについてです。
樹木も含め植物は、光合成により、太陽からの光エネルギーを利用して、大気中の二酸化炭素と水から炭水化物などの有機物を合成しています。
また、作られた有機物は植物内に固定されており、特に樹木は幹や枝などの形で大量の炭素を蓄えています。
植物は、私たち人間と同じように生きていくための呼吸もしています。つまり、酸素を吸収し二酸化炭素を放出しているのです。
ただし、光合成に使われる二酸化炭素量は呼吸から出る二酸化炭素量よりも多いので、差し引きすると樹木は二酸化炭素を吸収していることになります。
樹齢により、この割合が変わります。成長期の若い森林では、樹木は二酸化炭素をどんどん吸収して大きくなります。これに対して、成熟した森林になると、吸収量に対する呼吸量がだんだん多くなり、差し引きの吸収能力は低下していきます。したがって、人工林が成熟期を迎えたら、伐採して若い森林に更新することが効果的です。
出所:林野庁ホームページ
これまで見てきたとおり、二酸化炭素の放出と吸収に森林は大きな役割を果たしています。
より効果を発揮するには、森林減少を食い止めることや森林を適切に管理する必要があります。
また、地球温暖化を防ぐには、森林を維持することに加え、温室効果ガスを生み出している化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)を抑制することがとても大事になります。
それができてはじめて森林以外を含めたカーボンニュートラルが達成でき、地球温暖化の防止につながることになるのです。
どうでしょう。地球温暖化防止に向けた森林の役割について、ポイントをお伝えしました。単純なものではないということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
最後に一つ、製品としての木材を使うことも地球温暖化の防止に役立ちます。
林野庁ホームページには、木材を住宅や家具等に利用することについて、以下の3つの効果があると記載されています。
製品としての木材を住宅や家具等に利用することは、木材中の炭素を長期間にわたって貯蔵することにつながります(炭素貯蔵効果)。さらに、木材は、鉄等の資材に比べて、製造や加工に要するエネルギーが少なく製造・加工時の二酸化炭素の排出量が抑制されることになります(省エネ効果)。また、木材のエネルギー利用は、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えない「カーボンニュートラル」な特性を有しており、化石燃料の使用を抑制することができます(化石燃料代替効果)。
参考
WWFジャパンホームページ
国立環境研究所ホームページ
林野庁ホームページ
森林総合研究所資料
この記事を書いた人
高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。
植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。
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