こんにちは。旅する発酵料理家の山田雅恵です。
神奈川県秦野市をベースに日本全国、世界を旅して発酵文化や発酵食品、発酵の醸す地域を探って発酵の世界を多くの人に知ってもらえるような活動をしています。
今回は百薬の長!とも言われる、酒粕に注目。
酒粕は、糖質やたんぱく質、食物繊維を多く含んだ、非常に栄養価の高い食品。
発酵の過程で生み出された各種アミノ酸、ペプチド、ビタミン、アルコールをはじめ、 さまざまな機能性成分が残っていて、とても「かす」とはいえないほど優れているのです。
いつまでも若く、美しくいたいというかた、酒粕をうまく使いこなしていきましょう。
酒仕込みの時期は寒い冬
寒い冬、酒粕をスーパーなどでも多く目にする時期になってきましたね。 酒造りの時期到来です。
日本各地の酒蔵は、お酒を仕込む季節となります。
今の時期の仕込みに使う寒水(かんすい)は、お酒の味がまろやかになり美味しい仕込みに向く水なのです。
箱根のある神奈川でも多くの酒蔵があるのをご存知ですか?
美味しいお酒には、おいしいお水が必要です。
山があるところには湧き水、伏流水などがとれる場所が多くあるので、お酒を作れる条件が揃っているのです。
酒粕とはどういうもの・・?
酒粕は、お酒を作る途中段階で絞ってできる発酵させたものを漉してしぼったものです。 昔は漉さずに、どぶろく、濁り酒として飲んでいたのをご存知の方も多いと思います。
日本酒を絞った粕を酒粕と呼び、発酵食品である酒粕はさまざまな素晴らしい効能、効果があるのです。
ですが…、よく耳にするのは、
酒粕の使い道がわからない!
酒粕、買ったはいいけど使い残しがずっとある…、という方も多いのでは?
甘酒、粕汁だけで使っていると、もったいない!ので、もっと活用出来るのを知って活かしましょう!
そのまま加熱しないで食べたり、肌につけたりするとアルコールが8%ほど含まれているのでお酒が弱い方は注意くださいね。
また発酵しているのとアルコールを含んでいるので、腐ることなく、冷蔵庫や冷凍庫で長期間保存ができます。
常温で保存すると、熟成して色が茶色くなりますが風味がまろやかになり、漬け床にしたり、ドライフルーツを漬け込んだりできるのでおすすめです。
酒粕の保存はラップで包んでから保存用ポリ袋に入れて冷凍するとよいでしょう。 たまに表面に白い粉のようなものが出ますが、これはカビではなく、シロチンというたんぱく質が結晶したもので、食べても問題ありません。
美肌になる!素晴らしい酒粕の効能
そんな酒粕はどんな効能があるのか、みていきましょう。
酒造りをおこなう杜氏(とうじ)の透き通るように白く、美しい手。
古くから言い伝えられるこの伝承もあるように、日本酒や味噌・醤油などの醸造に使われる麹(こうじ)には麹菌の発酵過程で生みだされる発酵代謝物質「コウジ酸」が多いのです。
このコウジ酸は、多数の化粧品にもその成分を使われるほど今はメジャーになってきています。シミのもとメラニンをつくる酵素の働きを抑えるという効能があるのです。
また酒かすには、水分蒸発を防ぐα-エチルグルコシドや遊離アミノ酸、肌を若く保つビタミンB群、シミの原因となるメラニン色素を作りにくくするアルブチンなど、多様な成分が含まれています。
酒かすが美肌にいいことは経験的に知られていて、これらを原料に使った基礎化粧品やせっけん、入浴剤なども出回っています。
食べて美肌になる
酒かすに含まれるレジスタントプロテインは、食物繊維と似た働きをするたんぱく質の一種。
摂取すると小腸を通り過ぎながら、コレステロールなどの脂質を強力に抱き込んで体外に排せつしてくれます。
つまり、酒かすと一緒に食べた脂質は、体内に吸収されにくく、結果として太りにくくなるのです。
また、酒かすには不溶性食物繊維も豊富に含まれており、レジスタントプロテインとの相乗効果も期待できます。
実際に排便回数も排便量も増加することがヒトの実験で示されているそうです。
1、漬け込み床
酒粕、みりん、を混ぜて漬け込み床に。魚、肉などを漬け込むと酵素の力で柔らかくなり、保存もききます。
2、味噌仕込みの蓋
味噌仕込みの時に振り塩の代わりに、味噌を表面に塗る。空気とふれる表面に発酵している味噌があるとカビが発生しないです。
3、酒粕ピクルス
酒粕、みりん、塩、酢を入れて混ぜる。そこにカットした野菜を入れ2時間くらいつければ味がしみこんで美味しい漬物に。保存もききます。
4、乳製品不使用!酒粕粉チーズ(焼くとチーズ風に)
酒粕は、オイルと塩気が合わさると、チーズのような風味になります。乳製品を摂れない方でも、気にせずに食べていただけます。
酒粕50g
アーモンドプードル30g
米粉50g
塩6g
オリーブ油7g
以上を合わせてサラサラになるまで混ぜる。160度のオーブンで20−25分焼いて冷まして出来上がり。
塗って美肌になる
酒粕パックは、コウジ酸の効能を効果的に活かせるので、おすすめです。すぐ効果が出るので、肌の保湿、美肌、美白に効果があります。
シミや、そばかすが薄くなり、顔のトーンが2トーンくらい明るくなります。(個人差、使用頻度によります)
毎日パックしてもいいですが、週に3回くらいでも効能があります。乾燥しがちな冬の季節は、顔以外でもひじ、膝、かかとなどに使ウト、しっとりしますよ。
体質的にアルコールが苦手な方はやわらかめに作った酒粕パックを火にかけてアルコールを飛ばしてから使用ください。(パッチテストがおすすめです)
<酒粕パックの作り方>
●材料
酒粕(ねり粕、板粕など) 適量(100gくらいが使いやすいです)
精製水 適量
●作り方 1、ジッパー付きビニール袋に酒粕、精製水を入れる。
2、ペースト状になるまで袋の上からもむ。手ですくい、塗って落ちないペースト状にする。(精製水の入れすぎには注意)
フードプロセッサーで撹拌してもOKです。
3、1週間~2週間くらい冷蔵庫で保存して使い切る。
●使い方
15分くらい顔や、膝など肌に塗って10ー15分くらいおく。
ぬるま湯で洗い流す。
顔を洗ったり、お風呂で使ったりしてみる。
お風呂に入って美肌になる
寒い冬の季節、お風呂に入る機会も多いので酒粕の効能を存分に活かしていきましょう。
酒粕をガーゼやお茶パックに包んだものをお湯のなかで揉んで、酒粕にごり風呂に。
お湯自体もとろみがついて、滑らかになり、コウジ酸のもつ効能の、しっとり保湿、保温効果も増して、体全体かぽかぽかと湯冷めしづらくなります。
保湿の効果もあるので、乾燥しがちな季節も肌の表面を滑らかにしてくれます。
多少にアルコールも入っているので、皮膚表面の毛細血管の血流もよくなり、新陳代謝も活性化します。
<酒粕風呂のやり方>
酒粕 適量
ガーゼ、お茶パックなど
ガーゼ、お茶パックに酒粕を入れて、お湯の中で揉んでください。
そのままお湯に浮かべたままでOK
(あまり量が多いと溶けにくいので、お風呂の大きさと合わせてご使用ください)
酒粕で美肌になるまとめ
食べるだけじゃない、様々な効能を持つ酒粕は体の外からも活用できることがわかっていただけたと思います。
体の中から、外から、この季節に安く手に入る酒粕を使いこなして、発酵の世界をより身近に感じてもらえたらと思います。
箱根のある神奈川の美味しい水からできた、日本酒、酒粕をぜひこの機会に探してみてくださいね。
この記事を書いた人
山田 雅恵(やまだ まさえ)
旅する発酵料理家・ファッションデザイナー
旅と発酵の世界をこよなく愛し、発酵の醸し出す世界を広めるために日本各地、海外にて発酵を求め活動している。
文化女子大学家政学部服装学科卒業後、エスモードパリ本校にて学ぶ。ニースのコンクールにてクリエーション賞受賞。パリコレなどのフィッターを経験。帰国後にインディーズブランド立ち上げ、セレクトショップ、大手アパレルブランド数社のデザイナー、京都にて京友禅の着物作りを経て、デザイン企画会社を仲間と起業。
ファッションデザイナーでありながら、天然酵母のパンの発酵と自然の世界に魅せられ、発酵の世界へ。日本の麹の天才調味料、醤(ひしお)仕込み、活用の仕方を広げるべく、日本全国、フランスでも仕込み会を開催。衣食住・心を、発酵を通して、世の中良くしたいという思いで、神奈川県の鶴巻温泉をベースにして、日本全国で活動中。
未来の子供を食で学ぶキッズサイエンス、子供のものづくりの能力を引き出すアートクラスも各地で開催。古民家再生プロジェクトにも関わる。
2018年度より【お裁縫くらす】を日本各地で開催。お裁縫がある暮らしを提案すべく、使える日常雑貨などを作り、自分で愛着のものを作り身につけることを伝えることを使命として、活動中です。
「旅する発酵倶楽部」:https://yamadamasae.com/