
森とひとつに還る時間 ― 足裏から感じるホリスティックな癒し ―(イベント報告)
先日、秋の訪れを感じ始めた箱根やすらぎの森にて、「足元から整う、深い癒しのセッション~リフレクソロジー×森林浴×グラウンディング~」を開催しました。https://peatix.com/event/4...
先日、秋の訪れを感じ始めた箱根やすらぎの森にて、
「足元から整う、深い癒しのセッション~リフレクソロジー×森林浴×グラウンディング~」を開催しました。
https://peatix.com/event/4568068/view
こちらでは、「足のセルフケア講座」と「森林セラピー」、そして「裸足のグラウンディング」のカリキュラムで行いました。
「ホリスティック」とは、“全体・関連・つながり・バランス”という意味をすべて含む言葉です。その理念は、森の中に足を踏み入れた瞬間、言葉ではなく“感覚”として私たちに教えてくれました。
木々の香りが呼吸を深め、鳥の声が思考を静め、やわらかな光が細胞に語りかける。
森林セラピーは、自然と人との境界をやさしく溶かす時間です。
単なるリラクゼーションではなく、身体のリズム、心の調和、魂の記憶を思い出す“ホリスティックな癒しの体験”そのものです。
東洋医学でも、身体はひとつの小宇宙と考えられています。体内を巡る「気・血・水」の流れは、自然界の循環と響き合いながら私たちを生かしています。
森の循環、大地の呼吸、そして私たちの身体のリズムは、本来、同じ生命の流れの中にあります。香りを感じ、足裏で大地を確かめるその瞬間に、心も体も、本来の自分へと整っていく。今回の体験は、自然とわたしたちの“つながり”を思い出す、穏やかで深い時間となりました。
まず最初に屋内にて、足裏のセルフケア講座から始まりました。
解剖学から足の哲学まで幅広い内容となりましたが、今回は医療従事者の方が多く参加されていたこともあって、皆様の理解度も早く、足裏のケアの大切さがより伝わったように感じました。ご自身で実践していただけるよう、反射区を意識しながら内臓や神経へ穏やかに働きかけていく方法をお伝えしました。
ボディケアは、人に任せることも大切ですが、「自分の主治医は自分であること」を念頭に、自分自身で身体の観察をして不調な箇所のケアをしていく方法として「リフレクソロジー(足裏の反射区)」を理解していく事は不調改善の手助けになったと思います。
※リフレクソロジーとは、「反射学」を意味し、全身の臓器や器官と連動している主に足の裏、手のひらの「反射区」を刺激することで、心身のバランスを整える健康法です。
続いて午後からの森林セラピーでは、森の中を歩きながら五感を開放し、風や光、香りに身を委ねてリラックスしながら歩きました。
木々の香りにはフィトンチッドと呼ばれる揮発成分が含まれ、それが自律神経を穏やかに整え、心拍や呼吸を深めてくれます。東洋医学の「呼吸は気の巡りを助ける」という教えのように、深い呼吸のたびに内なるエネルギーが澄みわたっていくのを感じて頂けたかと思います。
また、今回は裸足で地面に立つグラウンディングを行いました。
初めは少し怖さを感じたという参加者も、コケの柔らかさや土の温度、水に触れるうちに、次第に安心感が広がっていったそうです。「恐る恐るでも、確かに自分の足で立っていた」という実感は、単に地面を踏みしめたというだけでなく、“自分の人生を自分の足で立って歩く”という深い象徴のようにも感じられたかと思います。
翌日には「足の着き方が変わり、薬指と小指がしっかり地面を捉えている感覚があった」との声もありました。身体が変わると、心の構えも変わる。慎重に構えていた自分の“鎧”を少しずつ緩め、「案外、やってみたら大丈夫」と思えるようになったそうです。足から生まれた気づきが、その人の内面を優しく解いていったのだと思います。
当日は、秋雲からの陽射し、木々の陰影、湖畔からの冷たい風、帰り道には雨空と…
自然の表情がめまぐるしく変わる一日となりました。
「この世は陰と陽、明と暗、どちらもあり、バランスが大切なこと」という言葉が、その日の天候と重なります。
東洋医学の根底にも、この“陰陽の調和”の考えがあります。
晴れの日もあれば、雨の日もある。身体や心にも、元気な日も、休みたい日もある。そのどちらも自然であり、どちらも生の一部。参加者の方々はその変化を身体で感じ、「今の自分をそのまま受け入れる」ことの大切さを実感されたようでした。イベントを終えてからも、「あの日の森の空気を思い出しながら、オイルでマッサージを続けています」という声が届いています。
今回は、授業の始めに「クロモジの精油の香り」を嗅ぎ、お昼には「クロモジのお茶」を飲んでいただき、森の中でも実際の「クロモジの枝葉の香り」を嗅いで頂きました。
その香りをブレンドしたマッサージオイルをお土産として持ち帰っていただきました。この日、森で嗅いだクロモジの香りを脳や皮膚や嗅覚が覚えていて、日常でクロモジブレンドのマッサージオイルに触れるたび、森での時間を思い出し、自然と深い呼吸ができる事と思います。
森とつながり、身体とつながり、自分自身と再びつながる。その循環が、日常の中でも静かに息づいていくようです。
このプログラムを通して改めて感じたことは、自然も人も、常に変化しながら生かされ、整っていく存在だということ。人も自然の一部であること。ホリスティックの考え方や東洋医学が教えてくれる「全体としての調和」は、森の中で確かに生まれているということを実感できた時間となりました。
次回は 11月9日(土)、「はこねのもり女子大学」秋の特別プログラム を開催します。
https://hakojo-lab.jp/20251109.html
森とともに自分を整えるひとときを、またご一緒できたら幸いです。
この記事を書いた人

渡邉綾(森林セラピスト)
森林セラピスト、ホリスティックケアプロフェッショナルスクール認定アロマセラピスト、看護師。
登山が趣味で、森が心身にもたらす効果を直に経験し、森林セラピストとなりました。
医療者として治療だけではなく、予防医療の大切さを実感しています。
看護師として、統合医療施設での勤務経験あり。
ケアルーム"Naturan"にて、アロマトリートメントによるセラピストとしてクライアントさんのケアにも携わっています。

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