温泉で身体を温めると免疫があがる?
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ちょっとした知識の2回目は、「香り」についてです。五感のうちの「嗅覚」に関係するものです。
植物が「香り」を出しているのは、その植物にとって何らかの意味があります。また、人間もその「香り」を昔から生活に使っていました。
森林浴効果の大きな要素にもなっているようです。
そして、雨の日の香りについても少しお伝えします。
多くの花は、受粉、つまり、おしべについている花粉をめしべにつけることが必要です。
それにより、実がなり、種となり、それが育つことで子孫を残していくことになります。
そのためには、ハチやチョウなどの昆虫や鳥などに運んでもらう必要があります。
もちろん昆虫や鳥は、花粉を運ぼうと思っているわけではなく、花の蜜などを吸う際に身体に花粉をつけて、それを他の花の蜜を吸う際にめしべにつけるのです。
それを誘うものが香りです。
ちなみに鳥や昆虫を誘うのは香りだけではなく、花の色も大事な役割をはたしています。
たとえばツバキは特に香りがありません。でも目立つ色をしているので、それで呼び寄せるのです。
花の香りというといいにおいというイメージが強いのではないでしょうか。でもそうともいえないものもあります。
また、花といえば白や赤や黄色などの色をしていると思いがちですが、実際は茶色の花も多くあります。
たとえば、5月下旬〜6月上旬ごろに咲くクリやマテバシイの花は、色が茶色で花びらもすぐにはわかりません(写真参照)。
そして匂いも独特です。
葉に香りなんかあるの?と思う方もいるかもしれません。確かにすべての葉から人間が香りを感じることはありません。
植物にとって、香りはカビや病原菌や他の虫から身を守るものです。
不思議なことがあります。たとえばクスノキは、木についている葉っぱはほとんど香りませんが、虫がかじって傷つけると虫がいやがる香りをだして、その虫を寄せ付けないようにします。
同じようなことはサクラの葉っぱでもおきています。また、草を刈ったあとに草の匂いが感じられることもあるとおもいます。これも同じ作用ですね。
人間は暮らしの中で葉をさまざまな場面で使っています。
柿の葉寿司は寿司を柿の葉にくるんでいます。
生魚をヒノキの葉にくるんでおくこと、富山の鱒寿司は笹の葉に包まれているなど、いずれも殺菌のために用いられています。
それからさきほど登場したクスノキは、その葉や枝などから樟脳をとることができます。
そうです。虫除けとしてタンスに置いているものです。
クスノキの木の下には、蚊がこないのかもしれません。
夏の休憩場所として、重宝しているという話も聞いたことがあります。
木にも香りがあります。木材にするとその香りがよくわかりますね。
材内の精油成分によるものです。
ヒノキは材にも香りがあり、虫や細菌に強いのです。なので、奈良の法隆寺をはじめ、長持ちしなければならない建築物に使われています。
植物の葉や枝や幹などから出てくる香りなどを総称して「フィトンチッド」と呼ばれます。
フィトンチッドという言葉はロシアの研究者であるB.P.トーキン博士によって1930年ごろに作られたロシア語の造語です。
フィトンは「植物」を意味するギリシャ語、チッドは「他の生物を殺す」を意味するラテン語に由来しています。
言葉の意味だけをみると想像できませんが、この「フィトンチッド」は、人間には、とてもいい影響を与えています。
森林浴の効果を高める大きな要因になっています。
また、夏の森はフィトンチッドの濃度が高く、しかも40センチほどの高さのところに多く滞留していることがわかっています。
ぜひ寝転んだり、腰をおろしてみたりしてみてください。
詳しくは、夏の森はフィトンチッドの濃度が高いhttps://hakojo-lab.jp/media/2018/06/25/181をごらんください。
カツラの甘い匂いや、サクラの葉の桜餅のような匂いは、落ち葉がぬれると際立ってきます。
カラカラに乾いた葉からは匂いがないのですが、それが濡れると香りがわいてくるのです。
ちなみに雨が降り出したときの匂いには「ペトリコール」。雨が止んだ後の匂いには「ゲオスミン」という名がつけられています。
特に「ゲオスミン」は「大地のにおい」とも訳されており、雨が降ることで拡散され、雨水が蒸発し始める際ににおいが強まることによるもののようです。
森林の中で、いろんな香りを意識して感じてみませんか?
参考図書:「植物はすごい」田中修著 中公新書
この記事を書いた人
高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
経営コンサルタントとして、農業者支援と健康経営づくりに従事。
森林セラピスト、食と農のかたりべ(食農検定1級)として、皆が生き生きとなれるサポートを実施。
50坪ほどの家庭菜園で野菜づくりも。
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