11月10日開催 ~はこじょプレミアム~「音と香りの森林セラピーツアー」イベントレポート
11月10日(日)実施レポート。今回も天気予報は覆り、当日は曇り予報となり、秋の森を案内ができました。まず森へ入る前に、今日の身体の状態をご自身で把握して頂きました。今日の寝起きは良かったか、まだ寝足...
最近、健康に対して意識が高まっている方が増えてきました。その中でも松や、松葉に注目が集まってきています。
コロナ禍の時には、松茶が売り切れたほど、免疫力をあげたい方や健康を維持したい方など松にあやかろうとしている方が増えているようです。
松、ってあのチクチク針のような葉っぱの松だよね?
はい、そうです。その植物の松です。
まさかあの針のような葉っぱが食べられたり、飲めたり吸えたり、噛んだりして、化粧水や、シャンプー、お香にしたりして使うことで、さらに健康になるなんて信じられない人が多いと思います。
どうやって?食べたり飲んだりするの?と、思う人もいますよね。
実は、この松の葉や松の木の効能は昔から日本でも健康のために活用されていました。
松葉の効能は、かつての日本の暮らしの中で、民間療法として代々伝えられていて、かなり一般にも浸透していたようです。
そんな松を意識すると、日本の各地の至る場所に植えられていることに気づきます。
神社境内、参道、城の周り、寺、昔ながらの街道、海辺、武家屋敷や、古民家の玄関など。
松には神が宿る木として、昔の人が特別な存在として日常生活にあったということがわかりますね。
例えば、漁師たちは船酔い防止のために沿岸の松葉をむしって、口に含み、ガムを噛むように噛み締めながら航海していたそうです。
また登山者は、息切れを防ぐために松葉をかみしめながら歩いていたという話もあります。 さらに、 松葉酒造りは昔から民間療法として盛んでした。
自然療法の大家である東城百合子さんも、自然療法のバイブル的名著<家庭でできる自然療法 誰でもできる食事と手当て法 >で、以下のように書かれています。
“松葉を煎じて飲むと 冬に外出しても寒さを感じないで体がポカポカしてきます。
また、老人が就寝前に飲むとトイレに起きることなく熟睡するようになると、昔から大事にされてきました。
松葉は体を温め、新陳代謝を助け、毒素を出す働きがあります。
高血圧の予防、慢性 難病者、虚弱体質、肺結核、喘息などの呼吸器病一般、心臓、 低血圧、冷え性、不妊症、婦人病一般にもよい。“
松葉の効能はその成分から生薬として説明のつくものもありますが医療品としては研究がされてないがゆえにはっきりと分からない点も多くあります。
しかし、かつての人々の経験の蓄積の結果として後世に長く伝承されてきたということはその効能があってこそだということがわかります。
第二次世界大戦時に軍医として働いていた橋本敬三博士が、戦後日本の兵士と共に旧ソ連のナホトカ収容所にいた時のことです。
粗末な食事が続き 日本捕虜のほとんどが壊血病にかかってしまいました。壊血病とは、ビタミンC不足が原因で歯茎からの出血、全身衰弱、皮膚に赤い斑点が出るなどの症状を伴い、死に至ることもある怖い病気です。
もちろん収容所で薬は当時手に入りません。
そこで橋本医師は兵士たちに山で松葉を取って来させて松葉をかじったり、ご飯に入れたりして炊くなどの指導をしました。
そうしたところ、兵士全員の体調が回復したというのです。それ以来橋本博士は松葉軍医や松葉親父と呼ばれるようになったと伝わっています。
日本の歴史を振り返ると、松葉食の健康法は各地至るところに様々言い伝えなど残っています。なぜこれほどポピュラーだった民間療法が廃れてしまい 今や多くの人にとって、松って食べられるの?と驚いてしまうことになってしまったのでしょうか。
大きなきっかけは、明治時代の文明開化と言われています。
江戸時代に長く260年近く鎖国政策を取っていた日本ですが時代が明治になるにつれ政府は一気に近代化を進めてきました。
西洋諸国と肩を並べるために、西洋の価値観に従いそれまでの日本の優れた文化を国策として全否定するようになったのです。
医学についても、それまでの漢方医学や民間医学を全廃し、昔から伝承されてきた民間薬の処方は焼き捨てられると言う憂き目に会いました。
松を用いた処方箋は有形という形で残っていないので、その後は細々と口頭伝承されるうちに時代とともに廃れてしまったのだと考えられています。
なお、漢方に関して言えば、その緩やかな効果が見直され、現在は現代医療でも取り入れられるようになっています。その漢方薬である松の成分も西洋薬と同じく処方の中に使われています。
さて、そんな松を日常的に摂取できるようにお茶にするとご飯の時でも、日常的に取り入れやすいです。
今回は保存も効く、飲みやすい松茶の作り方をご紹介します。
一般に売られている松茶もいいですが、ご自身の手作りで作成してみてくださいね!
使う松は赤松がおすすめです。黒松、でもいいですが、葉っぱが硬いのと繊維が強いためしっかりした松茶になります。味は大きく変わらないです。
空気が綺麗な場所で育った松の葉を使用してください。
(松ヤニがいろんな汚染物質成分も吸着させるので、幹線道路など排気ガスが多い場所、工場地帯じゃない山でとれる松が良いです)
1.松葉を抜いて、洗い乾燥させる。
2.ハサミで2cmくらいにカットしてフライパンに入れ中火にかけ、から煎りして焙煎する。
3.香ばしい匂いがして色が茶色になったら火を止める。
4.お湯で煮出して抽出すると味がしっかりした松茶となります。
急須でお茶を淹れるようにするとちょっと薄いです。水出しで1晩水に多めの量を漬け込んでおくのも夏にはお勧め。(お茶パックに松茶を入れてください)
松は天然由来のサプリメントとして、これからも私たちの健康維持のために取り入れ家庭でできる 薬食&手当法として次の世代に残して行きたい植物ですね。
この記事を書いた人
山田 雅恵(やまだ まさえ)
旅する発酵料理家・ファッションデザイナー
旅と発酵の世界をこよなく愛し、発酵の醸し出す世界を広めるために日本各地、海外にて発酵を求め活動している。
文化女子大学家政学部服装学科卒業後、エスモードパリ本校にて学ぶ。ニースのコンクールにてクリエーション賞受賞。パリコレなどのフィッターを経験。帰国後にインディーズブランド立ち上げ、セレクトショップ、大手アパレルブランド数社のデザイナー、京都にて京友禅の着物作りを経て、デザイン企画会社を仲間と起業。
ファッションデザイナーでありながら、天然酵母のパンの発酵と自然の世界に魅せられ、発酵の世界へ。日本の麹の天才調味料、醤(ひしお)仕込み、活用の仕方を広げるべく、日本全国、フランスでも仕込み会を開催。衣食住・心を、発酵を通して、世の中良くしたいという思いで、神奈川県の鶴巻温泉をベースにして、日本全国で活動中。
未来の子供を食で学ぶキッズサイエンス、子供のものづくりの能力を引き出すアートクラスも各地で開催。古民家再生プロジェクトにも関わる。
2018年度より【お裁縫くらす】を日本各地で開催。お裁縫がある暮らしを提案すべく、使える日常雑貨などを作り、自分で愛着のものを作り身につけることを伝えることを使命として、活動中です。
「旅する発酵倶楽部」:https://yamadamasae.com/
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