
清里の森で育つ、未来へのまなざし 〜小金井市立小学校での森林ESDの取組〜
清里の森で育つ、未来へのまなざし〜小金井市立小学校での森林ESDの取組〜森林と教育を結びつける試みは「森のようちえん」など、さまざまな形で各地で行われています。筆者は山梨県清里で、小金井市立小学校6年...
森林は環境問題への対応など様々な面で注目を浴びています。森林環境税の課税(一人年間1,000円)が2024年度からはじまりました。
これを財源とした取り組みでは、林間学校の費用補助や里山林の整備も行われています。そのほかにも森林に関する国際的な取組みが進んでいます。
それらのポイントを紹介します。
1 森林環境税・森林環境譲与税の取組の背景
2 森林環境税の課税開始
3 森林環境譲与税とは
4 森林環境譲与税の使途の例(林間学校の費用補助)
5 森林環境譲与税の使途の例(里山林の整備)
6 生物多様性に係る法律の制定
我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成31(2019)年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、「森林環境税」及び「森林環境譲与税」が創設されました。
「森林環境税」とは、森林整備などの費用に充てるため、国内に住所のある個人に対して課税される国税です。住民税に上乗せし、市町村が1人年額1,000円を徴収します。2024年度から課税が開始されました。
課税された森林環境税は、「森林環境譲与税」として、国から全国すべての都道府県・市町村へ配分される仕組みです。
森林環境譲与税は、市町村による森林整備の財源として創設され、2019年度から森林環境税に先立って始まりました。都道府県・市町村に対し、客観的な基準(私有林人工林面積、林業就業者数、人口)に基づき按分して譲与されています。
森林環境譲与税は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に基づき、市町村においては、間伐等の「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林の整備の促進に関する施策」に充てることとされています。また、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。
譲与税の使途は、市町村の置かれている状況により様々です。以下林業従事者が比較的少ない地域での取組みの紹介です。
東京都小金井市では、森林体験参加児童補助金として、小学校6年生の林間学校において、生態系・森林構成に係るフィールドワーク調査、間伐、間伐材加工体験等の費用の一部を補助しています。具体的な活動としては、山梨県北杜市での林間学校において、事前学習で決めたテーマに基づき、生物調査や土壌などの調査と間伐体験を実施後に間伐材を活用したベンチなどを作成し、学校に戻ってその結果を事後学習で深めていくというものです。筆者も2年間支援者として参加しています。
神奈川県秦野市では、県立自然公園にも指定され、ハイキングなどの観光スポットとしても有名な弘法山公園について、危険なナラ枯れ被害木の伐採や、景色を良くするための修景伐採、伐採木を活用したウッドチップ舗装の整備などを実施しています。これにより、安心安全な環境の整備や、伐採により日当たりが良くなり、ウッドチップ舗装を整備したことでヤマビルの発生を抑えられました。また、散策路を整備し、人の流れを確保することで、鳥獣を寄せ付けない環境を整備しました。
地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律が制定され、令和6年4月19日公布(1年以内に施行)されました。事業者等による地域における生物多様性の増進のための活動を促進する認定制度を創設する等の措置を講じることで、豊かな生物多様性を確保し、ネイチャーポジティブ※の実現を推進しようとするものです。
※ ネイチャーポジティブ(自然再興)とは、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること
生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことです。生物が生育する環境が、海岸から山岳や、森林、草地、河川、湿原、干潟、サンゴ礁など、様々な自然があること(生態系の多様性)により、さまざまな生きものの生活の場が形成されています。
人間活動により、世界的に生物多様性は悪化(=損失)を続けています。
我が国は、「生物多様性国家戦略2023−2030」を定めており、国際的な取り決めである2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に対応し、「2030年ネイチャーポジティブ」を達成するための各種取組みを進めています。
その中で、2050年ビジョンとして「自然と共生する社会」を掲げており、社会の根本的な変革を求めるものとなっています。
2050年にカーボンニュートラルを実現するなどの気候変動と生物多様性の保全に一体的に取り組み、相互の好循環を生み出していくことが期待されています。森林はその中で大きな役割・機能を果たすことが求められています。
この記事を書いた人
高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。
植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。
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