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冬のハタハタと魚醤の裏側!発酵文化と自然からの警告

冬のハタハタと魚醤の裏側!発酵文化と自然からの警告

だんだん寒くなって冬が近づいてきました。 

 

山のジビエ、海のジビエ(天然回遊の魚)共に、そこから気づかせてくれる発酵世界があります。

昨今、様々な人間の経済活動で自然破壊が原因で自然のバランス均衡が崩れてしまっていることを感じやすくなっています。


<ハタハタ不漁問題2020>

これからの冬の時期に採れる秋田の魚(ハタハタ)で作る魚醤のしょっつるをご存知でしょうか?

ハタハタは11月末から日本海でとれる魚です。

この魚が今年は大不良で漁獲量が前年比52%と言われているそうで問題になっています。
 

ハタハタは高い水温が苦手なので、通常はより寒い気候の北から取れるはずなのですが今年は逆に南から取れているそう。 

 

それは、地球温暖化の影響なのか海水の高水温の影響などで沿岸の初漁も例年と比べて10日遅かったと言います。

ハタハタ原料のしょっつるが秋田の伝統発酵調味料として作られなくなる日もくるのでは?と思い、しょっつる(魚醤)について調べてみました。

 

<しょっつるとは>

しょっつるは塩魚汁、と書きます。

 

秋田の方では、昔から塩漬けにして1年以上発酵させて魚醤を作る発酵文化が定着していて、しょっつるは現地では醤油のような使われ方をされています。

タンパク質の分解によるアミノ酸やペプチドを主成分とし、旨味と特有の風味を持っています。

甘み、旨味がとてもあるので、しょっぱい出汁といったところでしょうか。

 

醤油の塩分パーセントは 大体12%から15%で、それに対して魚醤のしょっつるは、 塩分25%とかなり高めです。

 

しょっつるの歴史は江戸時代の初期とされ、本来は魚と塩だけを樽屋の下に仕込んでいた素朴な旨味調味料でした。

ところが過去20年近く本物のしょっつるが本場である地元秋田から姿を消していたのです。

しょっつる、はたはたを使った「はたはた鍋」は秋田の冬を告げる郷土料理です。

 

<ハタハタ絶滅の危機>

 

1970年代までは大量にハタハタは水揚げされ、冬の間のタンパク源として秋田の食文化に深く根ざしていました。

 

ところが十数年前は1−2万tもの、まさに無尽蔵ともいえる漁獲量だったハタハタが、乱獲のため70年代以降激減。

どん底の91年には70 t まで にも激減し、絶滅の危機に瀕してしまったのです。

そこで92年から3年間、地元漁師たちは自主的な全面禁漁に踏み切りました。これは漁師たちが自主的に規制をした世界で初めての、そして唯一のケースとなります。 

身を削る行動が実を結び、2000年には1,000t、03年には3,000tを上回るようになり、秋田の「味」は守られたのです。



<しょっつるの復活>

ハタハタの絶滅の危機は脱しても、またしょっつる生存の危機は続きます。

昔はしょっつるは自分の家で造るもの。特に漁師の家では殆どの家で造っていたと思います。

時代とともにどんどん家庭で仕込む人は少なくなり、「いま、確固としたしょっつるを後世に残さなければ、秋田のしょっつるは幻と消え、ハタハタの食文化は守れなくなる」という危機感が秋田のしょっつる製造メーカーを一歩前へと突き動かしたそうです。

 

<小麦、大豆アレルギーの方にも!ふっくら保湿効果がある魚醤はおすすめ>

 

魚醤は大豆小麦を使用していない(含まれていない)ので、 大豆小麦アレルギー対策をお考えの方は醤油代わりとして魚醤を出汁で割って使っている方もたくさんいらっしゃいます。

 

また、タンパク質を分解してアミノ酸ペプチドができるため、とても甘みを感じやすい発酵調味料です。

ペプチドには保水力が高いという特徴もあり、味がシャープなしょう油は余分な水分が抜けて食材も引き締まる効果があります。

逆にジューシーに仕上げたいなら魚醤の保水効果を活かすのがおすすめ。肉や魚の旨みを抱え込むので、下味付けで使うと焼き縮みを防ぐ働きが期待できます。

 

<日本と世界の魚醤>

そんな魚醤の特徴と使い方を見ていきましょう。

日本三大魚醤といわれるものは以下3つ。

 

1、いしる(いしり) 能登外海(イワシ、イカ)

2、しょっつる 秋田(ハタハタ)

3、いかなご醤油 香川(いかなご)

 

また世界に目を向けると、世界の有名な魚醤が色々あります。

 

1、ナンプラー(タイ) カタクチイワシ

2、ニョクマム(ベトナム) カタクチイワシ

3、コントウーライ イタリア  カタクチイワシ

 

世界的にカタクチイワシが多いのに対し、日本は郷土色豊か。日本三大魚醤を比べてみると、秋田の「しょっつる」はハタハタ、石川県能登の「いしる」はイカの内臓、そして香川の「イカナゴ醤油」はイカナゴが原料で使われています。

 

<しょっつる、魚醤の活用方法>

味の旨みを持たせるために、植物性と動物性の合体は大変有効です。

いつものしょう油に隠し味として魚醤を混ぜてみるのがおすすめで使いやすい。

魚醤は熱を加えると香りが立つので、好きな人は炒め物で利用してみると旨味も香りもUP。

 

焼肉の下味つけやハンバーグに使うと、保水力が働いてふっくら仕上がるので試してみてくださいね!

 

<山のジビエが多いのは、自然のバランスが狂ってきてる?!>

一方、海から山に目を向けてみましょう。

 

最近は、ジビエ(イノシシ、鹿、熊、鳥類)をだすレストランも増えてきました。

イノシシ、シカ、カモシカ、猿それに熊、カラスまで野生動物による被害が増えてきています。そこで捕らえられたジビエが解体され、繋がりがあるレストランで食べられます。

 

山や畑、里山で獣害が増えてきているのも、人間が戦後に山を針葉樹(杉など)で植林し始めたのが一つの原因と言われています。

ハンター(猟銃)が減ったのも一因ですが。

 

木の実などを主食にしている山に住む動物が食べるものがなく、里に降りてきて、人間の畑や田んぼを荒らしたりするのです。

 

<魚醤と発酵、山と海のジビエのまとめ>

人間も自然のなかで、山の中を歩いて自然と共存することを意識するきっかけになると、世の中で起きていることの裏側を見ようとして意識が変わっていくでしょう。

また、海を眺めて海の中の見えない世界を想像してみてください。

 

自分という人間の周りから広がっていく、社会と自然の仕組みやバランスを理解しようとする人が一人でも増えることで、興味を持ち、アクションに繋がるでしょう。。

そんな意識が昔から続く発酵文化も後世に引き継がれていくのではないでしょうか。

 


この記事を書いた人

山田 雅恵(やまだ まさえ)

旅する発酵料理家・ファッションデザイナー

旅と発酵の世界をこよなく愛し、発酵の醸し出す世界を広めるために日本各地、海外にて発酵を求め活動している。
文化女子大学家政学部服装学科卒業後、エスモードパリ本校にて学ぶ。ニースのコンクールにてクリエーション賞受賞。パリコレなどのフィッターを経験。帰国後にインディーズブランド立ち上げ、セレクトショップ、大手アパレルブランド数社のデザイナー、京都にて京友禅の着物作りを経て、デザイン企画会社を仲間と起業。

ファッションデザイナーでありながら、天然酵母のパンの発酵と自然の世界に魅せられ、発酵の世界へ。日本の麹の天才調味料、醤(ひしお)仕込み、活用の仕方を広げるべく、日本全国、フランスでも仕込み会を開催。衣食住・心を、発酵を通して、世の中良くしたいという思いで、神奈川県の鶴巻温泉をベースにして、日本全国で活動中。

未来の子供を食で学ぶキッズサイエンス、子供のものづくりの能力を引き出すアートクラスも各地で開催。古民家再生プロジェクトにも関わる。
2018年度より【お裁縫くらす】を日本各地で開催。お裁縫がある暮らしを提案すべく、使える日常雑貨などを作り、自分で愛着のものを作り身につけることを伝えることを使命として、活動中です。
「旅する発酵倶楽部」:https://yamadamasae.com/

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