
森は私たちのセラピスト〜七十二候が教えてくれる移りゆく自然の時間〜
東洋医学には『天人合一(てんじんごういつ)』という言葉があります。人の体も自然の一部。七十二候が告げる小さな変化は、そのまま私たちの体の内側で起きている変化でもあります。そして日本には「七十二候(しち...
昨今では家で過ごす時間が急に増え、テレワークなどの新しい生活様式が今後も取り入れられようとしています。人間は急な社会変化に対しストレスを感じやすい生き物。
「新型コロナウイルスに伴う活動自粛に関するマーケットリサーチ ~自粛生活が引き起こす人々の意識の変化~(n=1753)」(2020年5月, 株式会社ブレインパッド調べ)によると、自粛生活にストレスを感じている人は実に59%にも上ります。
気晴らしにと気軽に外出をするのも困難な状況から、自宅で簡単にできる身近なセルフストレスケアが求められています。今回は、『今日から自宅で簡単に出来るストレス解消法』について述べていきたいと思います。
入浴は身体の清浄目的の他、温熱や浮力等によりリラックス効果が得られることは経験的にも知られていますし、これまでのコラムでも入浴による様々な効果についてご紹介してきました。「若者のお風呂離れ」が叫ばれる一方で、入浴は美容健康に興味関心の高い層からは一定の評価を得続けています。
入浴によるリラックス効果について簡単に復習をすると、40℃程度のぬるま湯への入浴することにより自律神経のうちリラックス感を司る「副交感神経」を優位にすることができ、逆に42℃以上の熱い湯船では「交感神経」が優位となるために寝付きが悪くなったり、疲れが取れにくくなってしまったりします。
今日から出来る簡単なストレス解消法。それは、「お風呂で体温を1.1℃上げること」です。これまで「リラックスするには40℃程度のぬるま湯に10~15分」と述べてきましたが、温度というのは人によって感受性が異なっており、年齢や性別によって体温の上昇度合いも異なることがわかっています。具体的には、単に「リラックス状態」に留まらずストレスを解消するためには、体温を『1.1℃』上げることが重要なのです。
20~69歳までの男女58名に40℃の湯に15分間全身浴してもらい5分ごとに体温を測定する試験では、体温上昇の程度に個人差があり、若齢であるほど、また女性より男性の方が体温が上昇しやすい傾向があることがわかりました。
入浴における体温上昇のメカニズムは体表面で温められた血液が全身を巡ることによるものですから、若齢では血管拡張等が関与して体温の上昇が速かったことが考えられます。
また興味深いことに、良く眠れている、疲れていないなどの健康状態が良い人や、活気がある、友好が高いなどの気分状態が良好な人の方が体温が上昇しやすいのだそうです。体温上昇の程度が大きいということは、見方を変えれば「温度を感じやすい」ということ。つまり、同じ温度でも気持ちよく感じる人・感じない人がいるということです。
そこで、体温の上昇レベルでグループ分けをし、試験前と試験後でストレスの指標となる唾液アミラーゼ活性を測定したところ、およそ1.1℃体温上昇したグループはストレス度が減少した一方、0.8, 1.6℃上昇群にはこの傾向は見られませんでした。たった0.3~0.5℃の差ですが、身体にとっては大きな違いのようです。まさに、『魔法の1.1℃』ですね!
以上から、入浴による体温上昇度合いは個人差が大きく、また気分や体調によっても異なること、入浴による温熱効果は大きすぎても小さすぎてもストレス解消効果が得られないことがわかりました。それでは、入浴の効果をしっかり得られる魔法の温度「1.1℃」を上昇させるには、どのような入浴法が良いのでしょうか。
上記の試験では、1.6℃上昇群では息苦しさを感じる傾向があったそうです。実際の日常生活を考えると、入浴する人によって湯温を変えるのは現実的ではないため、一定の温度で息苦しさを感じる入浴時間を把握しておくことが大切です。
体温が上がりすぎる前にお風呂から出るようにすることで、ストレス解消入浴法が可能になります。あまり長く浸かりすぎると肌の保湿成分が逃げてしまい乾燥肌に繋がるので、保湿系の入浴剤や温熱効果を高める薬用入浴剤を使うことで効率よく入浴を楽しんでくださいね。
今回はストレス解消に繋がる入浴法を、科学的な根拠と共にご紹介してきました。方法は、毎日の入浴の時間を意識するだけ。少しずつの工夫を重ねて、前向きに過ごす時間を増やしていきましょう。
この記事を書いた人

箱崎 かおり(はこざき かおり)
物質工学修士・コスメコンシェルジュインストラクター・化粧品成分上級スペシャリスト・ダイエットプロフェッショナルアドバイザー・入浴指導士・デントフェイシャルケアセラピスト・MAQUIA(集英社)公式ブロガー
化学専攻のリケジョという背景から、「科学的根拠のある正しい美容知識」の普及活動に従事。研究会や学会などで取得した知識を美容業従事者、消費者へわかりやすく情報公開し、美容の情報リテラシー向上に努める。美容セミナー講師や記事監修、企業サポートを行う。科学的観点から消費者に心理的・時間的負担を軽減した「お金と時間をかけない美容法」を提案。
公式サイト「理系美容家かおりのキレイになる美容科学」:http://rikei-biyouka.com/
かおりんMAQUIA公式ブログ:https://maquia.hpplus.jp/blog/account/kaorin_maquia/detail

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