みなさまこんにちは!はこじょ講師の龍崎です。
大人になればなるに従って、日々積み上げられた仕事や日常の雑務をこなすだけで一日が終わってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
青春時代と同じような好奇心や、健やかな精神を持ち続けるためには、
私が「私」であるということを認識しない、いわゆる「無意識の状態」が精神的にも、肉体的にもリラックスしている状態、人にとって理想的であるとも言われています。
あなたは「自分」を忘れられる瞬間はありますか?
私が「私」であると認識した瞬間、人は自分の置かれた状況や立場を認識し、その枠の中に収まろうと、何かに囚われてしまいがちです。
常に自分が「自分」であると感じているのは、意識の状態としては「息抜きができない状態」でもあるので、緊張から解放されず、心身ともに疲れてしまうという結果になります。
しかしこれは誰でも日常的に起こりうることで、決して珍しいことではありません。
そんな日常的に囚われがちな私達が、「私」という意識から解放されるためにはどうしたら良いのでしょうか?
今日は箱根から少し離れて、自然が豊かな京都保津川へお話の舞台を移しましょう。
日々自然の中でお仕事をされている保津川下りの船頭さんのお話を元に、私達の日常にも活かせる、今日を豊かに生きるヒントをご紹介したいと思います。
大自然のパノラマが広がる渓谷川下りから学ぶ
川下りとは古くから受け継がれた操船技術によって、川の流れと船を操る船頭さんの技術だけで、自然に囲まれた渓谷の中を約2時間かけて下ります。
特に、川の流れ、移りゆく自然、同じ航路であっても水量や季節によって、その情景は変化し、その瞬間ごとの自然を堪能することができます。
その体験はまさに人の五感をフル稼働させ
「今、自分は他人からどのように見られているのだろう?」
という、自分の中の「自分」がどんどん消えていく感覚があります。
私自身が渓谷川下りを体験して感じたことは…
山はそこに在るだけ
川はそこに流れているだけ
四季は巡りに巡って、一刻を刻むだけ…
自然の情景が私達の目に映りこむ時、自分が「自分」であることを忘れ、インスピレーションが冴え、自分の心の声に素直になることができます。
そのような時、自然は何も語らずとも
自分自身を振り返り、これまで、またはこれからの人生の問いかけをするきっかけになったりもします。
受け継がれる技術と先代の教え~目に見えない花根の存在
※ご本人より掲載の許可をいただいております観光やアクティビティのひとつとして紹介されることも多い保津川下りですが、操船技術以外にも江戸時代から受け継がれる「川作」という作業には考えさせられるものがあります。
川作とは、航路にある船底を傷める石を取り除く作業など、船の航路を確保する土木工事のことで、渓谷内は機械が入れないため全て手作業、かつ江戸時代からやり方はほとんど変わらず、教えることも、教わることもかなりの時間がかかる大切な作業だということです。
大変危険な作業である一方、安全に船を運航するためには必要な作業で、熟練した先輩船頭からたくさんのことを学んだそうです。
その技術が古くから伝わっているのは、船頭さん自身興味深く、先輩方の尊敬できるところであり、また船を操る操船技術は一生かけて練り上げていくものと、師匠に教わったそうです。
自然の力は、あまりに偉大で、翻弄されながらも、まだまだ勉強は続くということで、自然の中で働く船頭さんの背中には、仕事に対する職人魂と探究心。
その心意気からは先代から受け継がれた確かな技術、かつ自然を相手に力仕事であるため鍛え上げられた肉体には、にじみ出る男気が感じられます。
そしてその船頭さんが次の世代に伝えていく年代に入った今…
昔は教わる側の不安を感じた自分がいたそうですが、自分が伝える側になった時には、伝える側の不安があることを知ったそうです。
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咲いた花みて喜ぶならば、咲かせた花根の恩を知れ ***********************
この言葉は、咲いた花ばかりを見て喜ぶのではなく、花を咲かせる元になった花の根の存在を知る。
それは自然のことだけでなく、人間で言えばご先祖様や今の自分のルーツとなるその存在、花根に対する敬意と感謝の気持ちを大切にしましょう。
という意味合いです。
これから渓谷川下りを体験される方は、その時折の自然の美しさと共に、船を操る職人さん達の受け継がれてきた「船頭根性」と言われる“想い”を肌で感じてみると、またひと味違う渓谷川下りを楽しめるかもしれません。
あなたにとっての花根の存在を思い出せれば…きっと大丈夫
私達人間はやはり欲深い生き物であり、どんな気をつけていても、ついうっかり…
人生の成果や結果を求めすぎたり、それを得ることに時間やエネルギーを割きすぎたりしがちです。
今日の景色の美しさ、そして今日の私達があるのは、約400年の伝統が受け継がれてきた保津川船頭技術のように
*「自然」そして「人」 という花根の存在があってこそ成り立つものでしょう。
四季は移ろいゆき、毎年必ず冬を迎えます。
自然界は冬の時期、冷たく静まりかえっていますが、そんな中でも確かに土の中で生命の息杖を繰り返しています。
自然の摂理に照らし合わせても、花が美しく咲いていられるのは、人生の成果、充実の果実を味わえるのは、実際のところ、ほんの一瞬だということです。
美しく咲いている花をみて喜ばない人はいないと思いますが、人生で言えば花が咲かない時、思うような成果が得られない時ほど、あなたにとっての花根の存在を思い出してみてはいかがでしょうか?
どんなにしんどい、うまくいかない状況だったとしても、あなたにとっての花根の存在を思い出せれば、その状況の捉え方が変わっていくはずです。
そんな時こそあなたの心の中で
「きっと大丈夫。」
という気持ちが沸いてくれば、その状況を乗り越える力となり、必ず状況は良い方向へ進んでいくでしょう。
すでに自然界でも春は始まりつつあります。
花根があってこその春の華やかさ、明るさがあります。
今日のあなたの命、そしてあなたの笑顔は、花根の存在があってこそ…
日々思い出すことはなくても、それぞれの中に確かに存在しているのです。
この記事が誰かのお役に立てるなら、うれしく思います。
今日も応援しています。
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この記事を書いた人
龍崎 紗也加
ヨガインストラクター・はこねのもり女子大学講師
体と心に効くヨガを提案・実践中。
海の近くに移住し、ヨガ・サーフィン・野菜作りなど自然と親しむ生活を送っている。