今回は、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を用いた春の森林の楽しみ方を紹介します。
春(3月〜5月)は、低気圧と高気圧が交互に日本付近を西から東へ通過します。低気圧の通過に伴って気温は大きく変動し、天気は数日の周期で変わります。
気温は全体としては、だんだん上がっていきますが毎日少しずつ高くなるのではありません。
急に気温が上がって、2、3日暖かい日が続き、また急に寒い日がやってきます。
そして、また急に暖かくなってきます。暑くもなく、寒くもなく、外で過ごすには快適な季節です。このような季節に楽しめることを中心に紹介します。
森林における春の特徴
その1:景色がどんどん変わります
春には花が咲く樹種も多く、落葉樹は新芽が出て、新たな葉が育ち、いわゆる新緑の季節となります。花が多い時期、新緑の時期、そして緑が次第に濃くなっていくなど、景色がどんどん変わります。
その2:気温天気ともに変わりやすい
気温が急に高くなったり、低くなったりするのが、春の気象の特徴の1つですが、気温の変化が激しいだけでなく、天気の変化も大きいのです。晴れの日と雨の日が、わりあい規則正しく繰り替えされます。
このような春の森林の特徴を生かした楽しみ方をいくつか紹介します。
見た目の変化を楽しみます
春は花芽から始まり、ウメ、レンギョウ、ハクモクレン、コブシ、モモ、サクラなど、白、黄色、ピンク、赤といった様々な色の花が咲きます。
そして、落葉樹は新芽が出て、最初は薄い緑色の葉が出て、次第に色が濃くなっていきます。
また、クスノキを初めとする常緑性の広葉樹の中には、春に葉の新芽が出て葉が成長し始める頃(新緑の萌え出る頃)になると前年の葉が一斉に落葉するものもあります。
このような景色を楽しむための仕掛けとして、目を閉じて前の方などに手をかけて歩いてみる(ブラインドウォーク)ことをお勧めします。
景色のいいところで目を開けてみると景色がより鮮やかに感じられます。
様々な匂いを楽しんでみましょう
春には多くの花が咲きます。花の匂いには様々なものがあります。森林の中では他にも様々な匂いがします。
葉で特徴的な香りのするものに、まずクスノキがあります。葉をちぎって匂いを嗅いでみてください。爽やかな香りが感じられるのではないでしょうか。
そして、先に述べたように4月にはクスノキは葉が生え変わります。落ちた葉の中で茶色のものの匂いを同様に嗅いでみてください。少し匂いが違うと思います。
他にもダンコウバイやミカン科の葉はいい香りがします。
また、クロモジやコブシなどは枝からとてもいい香りがします。いろいろな葉のにおいを嗅いで比べてみるのも面白いですね。
芽や葉などを触ってみましょう
花芽にも様々なものがあります。3月に開花するハクモクレンは、毛布のようなモコモコとしたものに覆われており、独特の手触りがあります。
新緑の早い時期には、葉はとても柔らかいです。
この時期だけではないのですが、見た目はよく似ている一方、触ってみると痛い植物や、触っても痛くない植物などもあります。
例えば、アカマツの葉は触っても痛くないのですが、クロマツは触ると痛い。同様にイチイの葉は触っても痛くない一方、似ているカヤの葉は触ると痛いのです。
こんなことも楽しめます。
好きな場所を見つけ、寝転んでみること
この時期は、寒くも暑くもなく、外で過ごすには最適です。
森林の中で、好きな場所を見つけ、寝転んでみることをお勧めします。
鳥の声や葉や木の擦れ合う音など様々な音を感じながら、ゆっくりと深呼吸をしてみましょう。
雨の日の森林は香りが湧いてきます
天気の変化が大きい春の時期は雨の日も多いです。
雨の日に森林浴は考えられないという方も多いと思いますが、雨の日の森林では、いろんな香りが晴れた日よりは強く感じることができます。
このことを称して「香りが湧いてくる」と表現される方もいます。
これまで春の森林の楽しみ方を紹介してきましたが、景色の変化が多い時期だからこそ、定期的に同じ場所を訪れることをお勧めします。
お気に入りの場所がどう変わっていくのかを楽しみに。
この記事を書いた人
高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。
植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。