日本は世界の中でも睡眠不足の国!?
みなさんは毎晩ぐっすりと眠れていますか?
総務省が発表している「社会生活基本調査」では日本人の睡眠時間は減少傾向が続いており、「健康・体力づくり事業財団」が行った睡眠に関する調査によると5人に1人が睡眠に悩みを抱えているということです。
また日本人の睡眠時間が短いことは世界的にも知られており、経済協力開発機構(OECD)の国際比較調査によると加盟国のなかでも36カ国中最下位の7時間22分、1位の南アフリカとは100分以上もの差があるということです。
なかでも特に働く世代、男女でいえば女性の方が短く、そういう私も平日は仕事や家事、それに加えて自分の時間を確保するために、ついつい睡眠時間をけずり、休日に寝だめをしてしまうことがよくあります。そのような生活は、いわゆるソーシャルジェットラグ(平日と休日の睡眠リズムのズレ)を起こしてしまい、体内時計的には毎週末インドやタイへのアジア旅行をしているのと同じ程度の時差ボケを体験しているということらしいのです。
もしも睡眠不足が続いてしまったら…
昼間のパフォーマンスが低下し、自律神経やホルモンバランスなども乱れ、基礎代謝も落ちて太りやすくなったり、免疫力が下がって体調を崩したり風邪をひきやすくなったり、また心の不調にも繋がってしまいます。
美と健康にやっぱり睡眠は大切!
心と体の健康、さらには美を維持するためにも睡眠はとても大切です。睡眠は起きている間に使った脳と体の疲れをリセットし、エネルギーを蓄えてくれる役目もあります。また、人は眠っている間に熱を逃がし、脳を冷やす仕組みになっており、さらには脳の有害物質を排出しているということなのです。また成長ホルモンの分泌により骨や筋肉の成長を促したり、ストレスなどで傷ついた細胞を修復したり私たちが活き活きと生活するために睡眠は欠かせません。
最近私も睡眠不足が続くと風邪をひきやすくなったりお肌が荒れたり、さらには仕事での集中力がさがるので、忙しくなるとついついおろそかにしてしまいがちの睡眠の重要さを改めて実感しています。
では心地よく眠るためにはどうしたらよいのでしょうか?
一日の生活の中で安眠環境を作る時間を上手に活用して、しっかりと就寝準備を整え、睡眠の質を向上させましょう。
「適度な運動」を習慣に。
ウォーキングやストレッチなどの軽い有酸素運動を20分程度行うようにしましょう。コースはできるだけ緑の多いところを選び、できれば森林浴効果もねらいましょう。適度な運動は疲労をもたらし深い眠りへと誘います。
そして睡眠の質を向上させるなら18時〜20時までの間にするのが最も効果的です。というのも人間の体温は一日の中で一定のリズムで変化し、体温が上がると覚醒度が上がり、下がると眠くなります。このリズムにしたがって体温が下がる前に運動で上げておくと、体温が下がった時に温度差が大きくなり、寝つきをよくするのだそうです。運動時間の注意点としては、就寝前の激しい運動は交感神経を刺激して体は疲れているのに眠れないという状況を生み出すので控えましょう。
ぬるめのお湯にゆっくり「入浴」
心地良い眠りにつくためには38度〜40度のぬるめのお湯にゆっくりと入浴することがポイントです。ぬるめのお湯にゆったりとつかることで交感神経を静め、副交感神経を優位にしてリラックスした状態をつくり快眠へと導きます。お風呂に入る時間は、遅くとも就寝前の1時間前までにすませるようにしましょう。お風呂も運動と同様に、体温が下がり始めるタイミングを上手く工夫し、入浴で体温をいったん温めておくことが重要です。血行がよくなり皮膚表面から熱が放出され、深部体温が下がりやすくなり眠気が自然と訪れます。
「体内時計」を整えましょう。
朝食をしっかりとることで体が活動モードへとシフトし、気持ちよく一日のスタートを切ることができます。また寝る前に胃腸が活発に動いていると眠りが浅くなるので夕食は寝る前の3時間前までにすませることを心がけましょう。
それから、朝はしっかりと太陽の光を浴びて覚醒スイッチ「セロトニン」をしっかりと分泌させましょう。夜眠くなるためには「メラトニン」というホルモンの働きが重要ですが、「セロトニン」は日中の活力をサポートし、夜になると睡眠を促すホルモンである「メラトニン」に変わり、快適な睡眠へと導いてくれるのです。
この「メラトニン」が分泌されるためには、夜はしっかり消灯して暗条件を作ることが重要です。寝る前の1時間前くらいから暖色系の光(500ルクス以上の明るい光を避ける)の照明を使い蛍光灯やパソコン、スマホ等の睡眠を促すホルモン「メラトニン」を減少させてしまう青白い光を目に入れないようにしましょう。
快適な睡眠をおくるための「アロマ&ハーブ」をピックアップ!
1) 【緑の薬箱】良眠のハーブ「カモミール」のミルクティー
鎮静作用のあるハーブティーで眠りを誘いましょう。
◆カモミールミルクティー◆
【材 料】牛乳…150ml 熱湯…50ml [ドライハーブ]カモミール…小さじ2
【つくり方】ポットにハーブを入れ、熱湯を注いだらふたをして蒸らす。カップに温めた牛乳とティーをいれて混ぜる。
〈ジャーマンカモミール〉
鎮静作用が高く、ストレスによる疲れや緊張をほぐすので、就寝前に飲むのがおすすめ。健胃作用もあり,肌あれ時にも役立ちます。
※キク科アレルギーの方は注意。
2) 【すっきりお目覚め】覚醒の「ローズマリー」のエアフレッシュナー
眠気をシャキッと目覚めさせて体内時計を整えましょう。
◆エアフレッシュナー◆
【材 料】精製水…40ml 無水エタノール…10ml スプレー容器50ml用
[精油]ローズマリー…6滴 レモン…4滴
【つくり方】無水エタノールを容器に入れ、その上から精油を入れてふたをしてよく混ぜ合わせる。さらに精製水を加えよく混ぜる。一ヶ月で使い切る。
〈ローズマリー〉
脳に活力を与えやる気や自信を引き出し認知症予防にも役立つといわれています。
14世紀ハンガリーの王女エリザベス一世がローズマリーを主成分とする化粧水として使ったところ、いつまでも若々しさを保っていたため「若返りの水」といわれていたそうです。
3) 【心も体も癒される】安眠のアロマ「クラリセージ」でアロマトリートメント
安眠効果の高いクラリセージで心落ち着かせましょう。
◆トリートメントオイル◆
【材 料】キャリアオイル…15ml [精油]クラリセージ…2滴 ベルガモット…1滴
【つくり方】ビーカーなどの容器にキャリアオイルを入れ、精油を加え竹串などでかき混ぜる。トリートメントオイルを手にとり、手や足など気になる部分を優しくマッサージする。
※ベルガモットの精油は光毒性があるのでマッサージ5〜6時間は日光を避ける。また敏感肌の人は注意する。
〈クラリセージ〉
鎮静作用と精神を高揚させる作用に優れ、心を癒し幸福感をもたらしてくれるといわれています。女性ホルモンのバランスを整え、PMS(月経前症候群)や月経不順、更年期障害など、女性特有のトラブルを緩和する作用があります。 ※妊娠中は使用を避ける。
九頭龍が眠る芦ノ湖
さて箱根で「眠る」といえば、芦ノ湖に眠る九頭龍のお話が有名です。
昔々、芦ノ湖には九つの頭を持つ毒龍が棲んでいて、たびたび里人をおそっては苦しめていたのだそうです。ある時それを鎮めるために一人の娘をささげることとなり、湖の底に沈められることになりました。
そのころ箱根の山中では万巻上人という高僧が修行をしていました。その話を聞いた万巻上人は、湖に続く石壇を作らせ、その石壇で何日も祈祷を行ったところ、毒龍は心改め二度とこのようなことをしないと誓い、龍神となって多くの人々に開運隆盛はもとより金運、商売繁盛、縁結び等をもたらすようになったのだそうです。
芦ノ湖畔の森の中にたたずむ九頭龍神社は、日本はもとより海外からも多くの人が訪れるパワースポット。特に縁結びの神様として女性を中心に大変人気があり、実際に良縁に恵まれた!という話もちらほら。また神社へつづく「箱根九頭龍の森セラピーロード」と呼ばれる遊歩道は、野鳥のさえずりや四季折々の樹木や植物の観察を楽しむことができ、遊歩道のところどころから見える美しい芦ノ湖の景観は訪れた人の心を癒してくれます。
これからの季節、植物や花の種類も増えさらに散策するのが楽しくなりますので、ぜひお出かけして森のパワーを取り入れてみてはいかがでしょうか。九頭龍神社と森のパワーでぐっすりと眠り目覚めた朝、もしかすると素敵な王子さまと出会えるかもしれませんね!
参考文献
公益社団法人日本アロマ環境協会【機関誌】No68 Summer 2013, No69 Autumn 2013
特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌 第44号
ココロとカラダを癒す ハーブを楽しむ暮らしのレシピ
箱根神社 公式ホームページ
この記事を書いた人
木村 容子
AEAJ認定アロマテラピーインストラクター/JAMHA認定メディカルハーブコーディネータ/神奈川県 県西未病観光コンシェルジュ/(一社)はこねのもりコンソーシアムジャパン代表理事
こころとからだを癒す箱根の森に魅せられ「はこねのもり女子大学」の運営に携わる。
ポータルサイト運営会社にて医療機関の取材を重ねるうちにセルフケアの大切さを実感。以前から興味のあった植物療法に注目し、アロマテラピーとハーブの資格を取得。毎日の生活に楽しく気軽に植物のパワーを取り入れながら健康でビューティー&ハッピーに過ごすことを目指す。一男一女の母。