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森で脳を休め、回復させる 〜環境心理学の知見から〜

森で脳を休め、回復させる 〜環境心理学の知見から〜

ちっぽけな悩みにも見えてくる

最近印象に残った広告のキャッチコピーがあります。
「大自然の中じゃ、だいたいのことはちっぽけだ」
たしかスキー広告のキャッチコピーでした。うまく的を得ているなと思いました。

心理カウンセラーの筆者としては、ストレス解消と結びつけてしまいますが、仕事にしてもプライベートにしても、これまで思い悩んでいたことが、素晴らしい自然の中に居ると、どうでもよくなったり、軽くなったりするような感覚を持つことは確かにあります。

ストレス解消や気分転換には、日常を離れ、非日常の世界に行くといいとアドバイスしたりしていますが、まさに大自然はうってつけであるとあらためて思いました。

本記事では、ストレス解消・気分転換と自然環境による非日常的体験に関して、環境心理学の知見をもとに説明したいと思います。


注意回復理論(Attention Restoration Theory)

注意回復理論(ART)とは、米国の著名な環境心理学者カプラン夫妻が1980年代初頭より提唱しているものです。

実はこの理論、元をたどれば造園家であり、ジャーナリストでもあったオルムステッド(米国)の指摘にまでさかのぼることができます。
「自然を眺めれば、頭を疲れさせずに活動させることができる。頭をしずめると同時に活気づけてくれるのだ。そうすると、頭から肉体へと影響が及び、身体のシステム全体が生き返り、再び活力が湧いてくる」(オルムステッド,1865年)

オルムステッドに限らず、こうしてこの記事を読んでいる皆さんの中にも、自然に触れて、なぜか元気を取り戻したという実感をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
自然に触れるとどうして元気を取り戻すのかについて、心理学的に説明しようとしている理論のひとつが、注意回復理論(ART)です。
ARTでは、「自発的注意」と「非自発的注意」の2つに分けて考えています。


自発的注意(directed attention)

意識して注意をはらうこと。仕事、勉強など集中して行うときの注意。
集中して、成果をあげることができる一方、長続きするのは難しく、時間が長くなればなるほどに疲労は蓄積し、作業効率は落ちていってしまいます。
なお、疲労がたまると、イライラしやすく、ネガティブな感情にもなりやすくなります。


非自発的注意(effortless attention)

意識せずに注意を払うこと。なんとなく、ぼんやりとした状態での注意。
非自発的注意は、自然の中に身を置いたときに多く存在します。
英語ではeffortless attentionですが、effortlessには「努力を要しない」「楽な」という意味があります。ちなみに、エフォートレス・ファッションというと、「抜け感」「力を抜いた」「自然な」着こなしのことを言います。
非自発的注意とは、リラックスしたときの注意といってもいいでしょう。

カプラン夫妻は、自発的注意を回復させるために有効であるのが、非自発的注意であり、特に自然の中で過ごすことが有効であると言っています。


森で「思考が明晰」になり、「不安が減る」

カプラン夫妻の実験によると、自然の風景写真を見た後や、実際に戸外で過ごした後には、「思考が明晰」になり、「不安が減る」といった効果が確認されています。
また都会の風景写真を見た時と比べ、自然の風景写真を短時間見ただけでも、脳は少なくとも部分的には回復して機能することを確認しています。測定結果で大きな改善があったのは、脳の「認知機能」と「物事を実行する際に必要な注意力」です。
いまなお研究途上の理論ではありますが、こうした研究によりレイチェル・カプラン博士は「自然の中で過ごす時間が長くなれば、その効果も大きくなる」と言っています。

つまり、自然の中で過ごしたりして非自発的注意の状態に身を置くことは、脳を休め、仕事や雑事で疲れた脳を回復させていく効果があるというわけです。


脳を休ませるためには、「うっとりとした穏やかな状態」

カプラン夫妻は、脳を休ませるためには、「うっとりとした穏やかな状態でいる」ことがいいとアドバイスしています。
また自然の中で脳をもっとも回復させる景色については、「興味を惹かれると同時に、興味を惹かれすぎない景色」がいいと言っています。さらに、「注意を惹かれはするものの、集中する必要のない景色。その人の審美眼と一致し、少し神秘的な雰囲気も漂う景色」とも言っています。


皆さんは何に惹かれますか?
森でどんな場面になると、「うっとりとした穏やかな状態」になりますか?

筆者が考えてみて、まず思い浮かんだのは「焚き火」でした。焚き火で炎を見ていると、いつまでも飽きないというか、なんとなくぼんやりした状態であって、不思議と穏やかというか、まったりとした状態になっていることが多いです。


(引用文献)
フローレンス・ウィリアムズ著(2017)、栗木さつき・森嶋マリ訳「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方」NHK出版

 

この記事を書いた人

新行内勝善(しんぎょううち かつよし)

心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。

東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。

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