東洋医学の大きな特徴として「人と自然を統一体としてとらえる」という考え方があります。
今回はそのような「東洋医学からみる人体の自然との繋がり」についてと「冬の養正ポイント」をご紹介します。
人体と自然は繋がっている?
人体の組織も一つ一つが独立しているのではなく、連絡しあい影響しあっているように、地球単位でみると自然と人体も同じ原則で関係していると東洋医学では考えます。
季節が日々移り変わるように・・・
1日が昼から夜、夜から昼に移り変わるように・・・
人の体や心も同じように変化していきます。
東洋医学ではこのように「組織・器官が個別に機能するのではなく、全体がひとつのつながりを持った有機体である」ととらえています。
この考え方を中国では「整体観念」といい、東洋医学的な治療に際しては、患者さん各人の個別性を重視して対応することが特徴になっています。
四季と人体の関係
日本は四季があり、その時々の素晴らしさがありますよね。
ただ、その季節ごとに注意したいポイントもあります。
自然界で人体を包む大気は六つの気(風・暑・湿・燥・火・寒)に分けられます。
この六気は、そのままでは人体に害はありませんが、
① 過多・不足となった時
② 人体が六気に対して著しく抵抗力をなくした時
六気は六邪(りくじゃ)となり、病気の原因となるとされています。
では、冬の季節はどのような特徴があり、何に注意をすれば良いのでしょうか。
東洋医学からみる冬の特徴
日本の冬は地域にもよりますが、寒さが厳しくなるところが多いですよね。
寒さに体が抵抗できず「寒邪(かんじゃ)」が侵入すると、寒けがしたり、手足が冷えたり、下痢をします。
いわゆる「風邪」のひきはじめにこのような症状が出やすいです。
また、からだを巡るエネルギー(東洋医学で言う気や血)を凝集させる特性をもつので、それらの流れが滞り、詰まったところは痛みがおこるとされています。
そして、世の中のさまざまなものを「木・火・土・金・水」「肝・心・脾・肺・腎」などの5種類の属性で分類する「五行説」では、冬は「水」「腎」に分類されます。
冬は「腎」の働きが弱くなりやすい季節です。
腎は生殖機能やホルモンバランス、老化に関係しているため、冬の寒さによる冷えによって体を温める力が低下すると、月経不順や不妊、膝痛や腰痛などの原因になることも。
冬になるとこのような症状が強くなることが多いという方は特に、冬の寒さから体を守るように心掛けましょう。
冬にオススメのセルフケア
では、具体的に冬の寒さに負けない為には何に気を付ければよいでしょうか?
まず基本の大前提として、服装などで防寒対策をおこない、外気の寒さから守ること。
そして、外気の寒さに負けないよう、きちんとバランスの取れた食事と十分な睡眠をとることで、体の巡りをよくし寒さから体をバリアしましょう。
特に黒い食材(黒豆、黒米、黒ごま等)は「腎」を補い冬に食すと良いとされています。
日ごろから体力を付けておいたり、ストレスを溜めないことも大事です。
冬の森林は1年の中でも空気が澄んでいる季節。
地域によりますが、天候や服装に気を付け森林を歩き運動するのもよいでしょう。
その際は、汗冷えしないよう脱ぎ着できる服装で調整したりと、防寒対策をしっかりしてくださいね。
また、風邪が入り込むとされるツボである「風門(ふうもん)」がある「首の後ろ~肩甲骨」のあたりをマフラーや使い捨てカイロ等で温めるのもオススメです。
取り入れやすい方法から試してみて、ご自身に合っている方法を見つけ上手に四季を楽しみましょう。
この記事を書いた人
藤原 あかり
鍼灸師・産業カウンセラー・ハーブセラピスト
女性が自分らしくワクワクと自己実現できる世界を目指す。
大学では精神医療や睡眠等を研究。その後、企業の人事を担当していた際、肩こり・頭痛・PMSなどの不定愁訴について悩みを抱えているオフィスワーカーが多い事に着目し、それらを改善すべく鍼灸師の資格を取得。現在は資格を活かしヘルスケア領域で様々な活動をしている。