~森は女子の味方~
はこねのもりからキレイ、始まる。

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秋の森から、クルミのお話

秋の森から、クルミのお話

「オニグルミ」を好きなのは・・・


強風にあおられて落ちたオニグルミ


10月上旬、台風が青森県上空をごうごうと通過した翌日でした。
山のご主人と森散歩をご一緒させていただいていると、「オニグルミ(鬼胡桃)」の果実が、水たまりにたくさん落ちているのを見つけました。


夏、ぶどうの房のようなオニグルミの果実。葉は羽状複葉で秋に黄色く色づく


オニグルミ(クルミ科)の木は手を横に広げたような樹形です。
高さは10mにも届いて、夏頃にはその上部に房状になった緑色の果実が見つかるのですが、このときは熟した果皮がさらに腐って黒ずんでいました。
ここにはタンニン成分が多いために、触っていると指も爪も黒くなります。


緑の果皮や葉、樹皮を使って布に色を染めることも!

ここで、ご主人が持っていたナタでオニグルミの殻割りに挑戦しました!これがなかなか難しい!思わず便利なクルミ割り器が欲しくなります。



割ってみた!

ちなみに三内丸山遺跡(青森市)から出土した通称「縄文ポシェット」の中から、クルミも一緒に見つかっています。
土の中で、ポシェットと“鬼のように”ゴツゴツとした分厚い殻(内果皮)の両方に、守られていたためでしょうか?
5,000年前の人々も同じ植物の実を食べていたんだなぁと、リアルに伝わってくるようです。


さて、森の中では足元の土を軽くかき分けるようにして、ゆっくり歩いてみることをおすすめします。なぜなら落ち葉の絨毯の間に、こんな「たからもの」が見つかるかもしれないからです!


誰が食べたかな?(後日、長野の森で発見)

写真左はリス、写真右はネズミがオニグルミを食べた跡。
クルミのことは人間だけでなく、森のリスやネズミたちも大好きです。
リスは硬い殻の中央を走るラインに沿って歯で削り、ときどき両手(前肢)でクルっと実を回しながら(だから「クルミ」という説も!)ぐるりと溝を掘り進めていきます。
するときれいな真二つに割れます!
一方、ネズミたちはこんなふうに殻の両脇から穴を開けます。
こうやってみると一目瞭然、みんなが美味しく食べているのは種子の中の白い「仁」。
オニグルミが発芽・成長するための栄養分が詰まった場所ですから、脂肪分やタンパク質がたっぷり!
冬を前に身体にとり込む、森のごちそうです。


リスはどうやってクルミを運ぶ?

でも・・・ふと思いました。オニグルミを殻のままで量ってみると10gはありますから、森の小動物・リスたちにはきっと重いはず。
いったい、クルミをどうやって運ぶのでしょう? 
みこしを担ぐようにクルミをよいしょと持ち上げて、トットットッと小走り?

いえ、さすがにそうではないようです。リスは果実を口にくわえてサササッと走ります。
リスには「貯食行動」といって、秋の木の実を採って枝のあいだや洞穴に蓄えたり、土の中に埋めたりする習性があるそうです。
これも冬支度の本能。
オニグルミにとってみれば、種子を遠くへ運んでくれる仲間たちのおかげでいのちを広げていけますから、なくてはならないパートナーですね。


食べない「サワグルミ」

さて、“クルミ”と名のつく木には、「サワグルミ(沢胡桃)」もあります。
その名の通り、比較的日当たりの良い川沿いなどに野生する落葉高木です。
ただしサワグルミの木を下から見上げてみても、オニグルミのような丸い果実の姿はどこにも見当たりません。
その代わり、枝から「謎の焼き鳥棒」が何本もぶら下がっています!
よく見るとこれがサワグルミの種子です。
羽根らしきものが付いて、風に乗って遠くへ飛ばされやすいような形になっているのですね。


まるで焼き鳥棒!? キャンディ包みみたいなサワグルミの種子

先人はサワグルミの樹皮を剥いで、へぎ材に加工してかごを編む技を見出してくださいました。
クルミのかごはざっくりとして温かみが伝わってきます。
樹皮の筋目の凹凸やふぞろいなグラデーション、その表情は軽やかな遊び心があって素敵。
和の装いにはもちろんのこと、春~夏はTシャツとスニーカー、秋~冬はニットなど、飾らないいつものスタイルにも馴染んでくれると思います。


ころんとやさしい風合いが持ち味。クルミのかごを持って出かけよう


沖縄黒糖とヤブニッケイ、和クルミのキャラメリゼ



フライパンひとつ&シンプルな材料で作る「和クルミのキャラメリゼ」を手づくりしてみましょう!

必須脂肪酸のオメガ3や健康効果の高いオメガ9が手軽に補給できるクルミ。
そのまま食べてももちろん美味しいですが、今回は香ばしく炒ってから使うのがポイントです。
コクのある沖縄産黒砂糖の甘みとほろ苦さ、和ハーブ「ヤブニッケイ」の優しいシナモンテイストがクセになるおやつです。


【材料】

 和クルミ 30 g
 黒砂糖(粉状のものが扱いやすい) 15 g
 水 大さじ1
 和ハーブ「ヤブニッケイ」のドライ葉 1枚

*ヤブニッケイは「和ハーブスタイル」
 http://waherbstyle.jp (※オンライン店舗のみ)よりお求めいただけます。


【作り方】

1. ヤブニッケイの葉は、作る直前にミルで細かくする。

2. 和クルミをフライパンに入れて、軽く乾煎りしておく。

3. 2をフライパンからいったん取り出し、分量の黒砂糖と水を入れて中火にかける。

4. 3がふつふつとして香ばしくなってきたらやや火を弱め、2の和クルミを入れて菜箸で絡めるように混ぜる。

5. 火からおろして1のヤブニッケイを加え、フライパンの余熱でふたたび全体を混ぜる。

6. クルミ同士ができるだけくっつかないようにバットに並べて、そのまま冷まし固めたらできあがり。



黒糖かりんとうに似た触感で、口の中であとからヤブニッケイの香りと味わいが広がってきます。
ホットコーヒー、ミルクティー、ハーブティーなどのお茶請けや、ジンなどちょっと辛めのカクテルにはおつまみとしてお楽しみください!

この記事を書いた人

平川 美鶴  (Mitsuru Hirakawa)

和ハーブライフスタイリスト 
植物民俗文化研究/(一社)和ハーブ協会 副理事長

8月2日“ハーブの日”生まれ。「和ハーブ」と日本人の関わりを、歴史・文学・薬効・自然風土・産業などから調査研究。講師業、商品企画開発、実践ワークショップを通じ、自然の恵みと共にあった先人の尊い知恵を生かし、未来へどう届けるかを考えるメッセンジャー。共著『あなたの日本がもっと素敵になる 8つの和ハーブ物語 ~忘れられた日本の宝物~』(産学社)、『和ハーブ にほんのたからもの』(コスモの本)
一般社団法人 和ハーブ協会(Japan Herb Federation) http://wa-herb.com

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