<前編>では、腸内の善玉菌を増やし、免疫力を高めるための4つのポイントをご紹介しました。
さらに免疫力を高めるためには、善玉菌を増やすことに加えて、悪玉菌を減らすことが有効です。後編では、腸内の悪玉菌を減らすための最大のポイントとなる、便秘を改善するための方法をご紹介します。
腸内の悪玉菌を減らすための最大のポイントは、便秘にならないこと
大腸に便をため込み、腐敗が進んで悪玉菌が増えると、悪玉菌がタンパク質を分解してつくった有毒ガスが増加します。有毒ガスが便秘のために肛門から出られないと、ガスは大腸の毛細血管を通じて血液中に溶け込み、皮膚炎や肺の病気の原因となります。
そうならないために、手軽に今すぐできるオススメの便秘改善の方法が腹式呼吸です。
胸式呼吸と腹式呼吸
健康な人は、日中は胸式呼吸、睡眠中は腹式呼吸にと、自然に切り換えられています。しかし、ストレス過剰な状態が続くと、自律神経のバランスが崩れ、睡眠中も胸式呼吸となってしまうことがあります。
腹式呼吸をしないと、腹膜や横隔膜に柔軟性がなくなり、排便に必要な腹圧が低下してしまいます。便秘のときは便が詰まって固くなりますので、腹圧が弱いと排便できません。
腹式呼吸は息を吐くときに腹筋の力で横隔膜を上げ、自然に腹圧を高めます。ゆっくりと腹式呼吸を行うことにとって腹圧が高まり、便が出やすくなるのです。
リラックス効果が高まり、ガン、花粉症、皮膚病などを予防・改善
また、腹式呼吸によって、自律神経の副交感神経が整えられ、リラックス効果も高まります。リラックス効果もまた便秘を改善します。腸は緊張したときに働きにくくなり、リラックスしたときに働くのです。
腹式呼吸によって免疫バランスを整えることで、ガン、花粉症、皮膚病など、さまざまな病気を予防・改善することができるとされています。手軽な免疫活性法として、毎日5分間、腹式呼吸を行うことをオススメします。
簡単に今すぐやってみる腹式呼吸法
腹式呼吸は簡単にいうと、お腹をふくらませたりへこませたりすることによって行う呼吸です。はじめはお腹に手を当てて、ふくらみやへこみを意識しつつ行っていくとよいでしょう。
お腹をへこませながら口から息を少しずつ長く吐き出していきます。
この要領がうまくつかめないときには、人差し指を横にして唇に軽くつけます。このようにすると、少し口から息を出にくくなります。
その状態で口から息を少しずつ、時間をかけてゆっくりと吐き出していきます。また、吐き出しながら、肩や上半身から力が抜けていくのを感じてみましょう。
吐き出す息がなくなったら、今度は鼻から息を吸って、お腹をふくらませます。これを3〜5分間位続けると、副交感神経が整ってきて、心身がリラックスしてきます。脳からはα波が出てきます。
【簡単な腹式呼吸法のやり方】
① 人差し指を横にして、唇に軽くつける
② お腹をへこませながら、口から息を
長くゆっくりと吐き出す
肩や上半身から力が抜けていく感じを味わう
③ 鼻から息を吸って、お腹をふくらませる
④ 3〜5分間繰り返す
ポイントは、息を長くゆっくりと吐き出すことです。吸うときの2倍位の時間をかけて、ゆっくりと吐き出していきます。息を吐き出すときに、からだはゆるみ、緊張がとれて、リラックスしていきます。
お天気の良い日、森に出かけて
さて、この腹式呼吸とともに筆者がおススメしたいのは、お天気の良い日に森に出かけることです。
森でのんびりと、ボーっとするだけで、からだの緊張はゆるみ、リラックスしていきます。きれいな自然に心を寄せながら、マイペースで歩くのも、気分転換にはよいでしょう。
土や緑や動植物のさまざまなにおいがミックスされた自然の香り、心地よくゆらいでいる天然の風、木漏れ日やかわいい花、鳥や虫の鳴き声や水の音、ふわふわとしたコケ。天気の良い日の森は、私たちの心身にとても心地よい適度な刺激をもたらします。
さらに森の中でお気に入りの場所を見つけて腹式呼吸をしてみると・・・・・・、それはもうとても贅沢なリラックス法です。
※参考文献:主婦の友社編(2016年)『すぐわかる 免疫力の高め方』主婦の友社
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。