筆者が、メンタルヘルスに重きを置いている森林セラピストとして、ここ最近特に注目しているのは、メンタルヘルスに及ぼす食の影響です。
「強い精神が、弱い肉体に住むのはたいへんなことだ」
これは、レバノン出身の詩人、ハリール・ジブラーン(1883–1931)の言葉です。
当たり前のことですが、ともすると忘れがちな非常に大切なポイントを指摘しています。
私たちの心は脳の中にありますが、その脳はいうまでもなく、私たちのからだの一部ですね。
このため、脳の健康を考えるなら、まず第一にすべきことは、私たちのからだづくり。そして、からだを作り出している食事に気をつけていくことです。
腸脳相関ということが最近とみに言われていますが、これは「腸と脳が密接に関わっている、お互いに影響を及ぼしあっている」ということです。
腸にやさしい食事というのは、脳にもやさしいということが、さまざまな研究結果等によって裏付けされてきています。
心のためには、食を通して、からだから元気に、きれいになっていくことがとても有効なんですね。
では、からだを元気にしていくために、免疫力を高める方法の中から、新宿大腸クリニック院長の後藤利夫医師(※)が指摘している腸内の善玉菌を増やすためのポイントをいくつかご紹介します。
1.常にいろいろな食べ物を
先に「腸にやさしい」と言いましたが、後藤医師は、腸内の善玉菌を増やし、私たちの免疫力を高めていくために必要なことは、「お粥のような消化のよいものだけを食べて腸を甘やかすことではない」と言っています。
そうすると、腸の粘膜が萎縮して、退化していってしまい、かえって腸は弱くなってしまうそうです。腸は、常にいろいろな食べ物が通っていることによって元気になるのです。
2.食物繊維をたくさん
食物繊維をたくさんとると、善玉菌が増えて腸の調子が良くなるとともに、大腸ガンの危険性が減少するとされています。
ガンは日本人の死因トップですが、中でも女性に一番多いのが大腸ガンであり、年々増加していってしまっているのです。
食物繊維は、腸内細菌のエサとなりますが、とりわけ善玉菌のエサとなります。食物繊維をとって善玉菌を増やしていきましょう。
3.十分な睡眠
なぜ腸のために睡眠かというと、腸が自律神経の副交感神経の支配を受けているからです。
十分な睡眠が、副交感神経をよく機能させるために必要なのです。睡眠不足は自律神経の失調を招き、自律神経の失調は腸の不調を招きます。
大腸ガン、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などは、日本や欧米などの「夜ふかし国」で増加しています。
人間本来の生活リズムを無視した生活は、からだにとっては大きなストレスです。
4.頭寒腹熱
腸のためには「頭寒腹熱」、すなわちお腹をあたためることがよいのです。
腸は頭とは逆で冷やした状態ではよく働かず、あたためると調子がよくなります。
特に普段から胃腸の弱い人は、夏場でも腹巻をするなどしてお腹を冷やさないようにすることが大事です。
また、きつい下着や重い寝具は、からだを締めつけて腸の血流を悪くするので避けるようにしましょう。
以上、免疫力を高めるために、後藤医師が勧める腸内の善玉菌を増やすための4つのポイントをご紹介しました。
免疫力を高めるためには善玉菌を増やすことと同時に、悪玉菌を減らすことが有効です。
近日アップする<後編>では、悪玉菌を減らすための最大のポイントとなる「便秘にならない方法」をご紹介します。
※参考文献:主婦の友社編(2016年)『すぐわかる 免疫力の高め方』主婦の友社
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。