~森は女子の味方~
はこねのもりからキレイ、始まる。

facebook twitter instagram
facebook twitter instagram
TOP > メディア > 森林にまつわるトピックス:花粉症対策

森林にまつわるトピックス:花粉症対策

森林にまつわるトピックス:花粉症対策

花粉症の方々にとっては厳しい季節になりました。スギとヒノキの花粉が順次飛散量が増えてきます。スギとヒノキがどうしてこんなに多く残っているのか、そして花粉を減らす対策として国はどのようなことに取り組んでいるのかを紹介します。

最後に花粉症そのものへの皆さんができる対策も紹介します。

1 スギとヒノキの利用について
2 スギとヒノキが増えた理由
3 スギ花粉症の顕在化
4 対策その1:花粉発生源対策に数値目標を設定
5 対策その2:無花粉スギ
6 対策その3:スギ林の伐採・植え替え等を加速化
7 花粉症を防ぐには



1 スギとヒノキの利用について
日本では、昔からスギやヒノキ等の針葉樹と広葉樹が混交した森林が広く分布していたと推測されています。そして奈良時代以降には、大規模な建築物の造営等により、建築用材として優れた特性を持つスギやヒノキの利用が進み、伐採されるようになりました。

スギやヒノキの天然資源が減少し、江戸時代を迎える頃には北山(京都府)や吉野(奈良県)等でスギ等を植栽する人工造林が開始されました。

特にスギは成⾧が早い、面積当たりの収穫量が多い、柔らかく加工しやすいといった利点があり、建築物や船、生活用具等の幅広い用途に利用できることから、全国で造林技術が発達していきました。



2 スギとヒノキが増えた理由
戦中の軍需物資や戦後の復興資材等として大量の木材が必要となり、森林伐採が進行。この結果、我が国の森林は大きく荒廃し、各地で山地災害が頻発しました。

早急な国土緑化が求められ、造林技術の確立していたスギ等の針葉樹による造林が進んだ結果、戦後約10年で復旧造林がおおむね完了しました。

さらに戦後復興・高度経済成⾧のために建築用材等のニーズが増大しました。木材不足により価格が高騰したことから将来の高い収益を見込み、里山の薪炭林や奥地の天然広葉樹林を伐採・利用した跡地に、成⾧が早く建築用材としての利用価値が高いスギ等を植える拡大造林が進展しました。

その後、木材価格は下落。輸入木材の利用も進み、国内木材の伐採が減りました。

これらの結果、人工林は1949年の約500万haから現状の約1,000万haに達し、スギはそのうち約4割を占める主要林業樹種になっています。



3 スギ花粉症の顕在化
19世紀の英国でイネ科牧草の花粉症、米国でブタクサ等の花粉症が社会問題になりました。

その後カバノキ科やブナ科等の花粉症も含め、世界で花粉症が発生していきました。

スギ花粉症は1964年にはじめて確認されました。短期的な症状の程度は花粉飛散数が関係しており、⾧期的には、一度発症すると自然に治ることが少ないために患者が増加していくことに加え、花粉症の発症・悪化にはスギ人工林の成⾧に伴う花粉飛散量の増加や大気汚染、食生活の変化等による影響も指摘されました。



4 対策その1:花粉発生源対策に数値目標を設定
2023年4月、政府は「花粉症に関する関係閣僚会議」を設置し、5月に「花粉症対策の全体像」を決定。花粉の発生源であるスギ人工林を減らす「発生源対策」、飛散防止剤の開発等の「飛散対策」、治療薬の増産等の「発症・曝露対策」に総合的に取り組み、花粉症という社会問題を解決するための道筋を提示しました。

「花粉症対策の全体像」における花粉発生源対策の目標は、10年後には花粉発生源となるスギ人工林を約2割減少。将来像としては約30年後に花粉発生量を半減することです。
そのため、伐採・植替え等の加速化、スギ材の需要拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大、生産性向上と労働力確保等の対策を総合的に推進することとされました。



5 対策その2:無花粉スギ
1991年以降、林野庁では林木育種センターと都府県の参画を得て、少花粉スギ(花粉生産量が一般的なスギの1%以下)の品種を選定しました。

1992年に花粉を全く生産しない無花粉スギが富山県で発見されたことを契機に、全国で無花粉スギの探索が開始され、20個体以上が発見されました。その後優良な無花粉品種を開発する取組が、林木育種センターと都県の連携により進展。これまでに28品種が開発されました。

成⾧に優れ雄花着生性が低い(一般的なスギ・ヒノキの花粉量のおおむね半分以下)等の基準を満たすものを特定母樹に指定。特定母樹から採取された種穂から育成された特定苗木も花粉の少ない苗木として生産拡大を推進しました。

開発された花粉の少ないスギを早期に普及させるため、都道府県においてミニチュア採種園の整備を推進。また、花粉の少ないスギ苗木の増産に向けてコンテナ苗生産施設の整備を推進し、これらの取組により、花粉の少ないスギ苗木の生産量は2022年度で約1,600万本まで増加し、10年前と比べ約10倍、スギ苗木の生産量の約5割になりました。

ヒノキについては、花粉の少ない苗木の増産に向けて、品種開発や安定的に種子を生産する技術の開発を推進しています。



6 対策その3:スギ林の伐採・植え替え等を加速化
人口の多い都市部周辺などにおいて重点的に伐採・植替え等を実施する区域(スギ人工林伐採重点区域)を設定し、森林の集約化を進め、伐採・植替えの一貫作業の実施やそのために必要な路網整備を推進しています。

国有林野においても、国土保全や木材需給の動向等に配慮しつつ、伐採・植替えを加速化し、林業生産に適さないスギ人工林の広葉樹林化等の森林整備を促進しています。



7 花粉症を防ぐには
花粉の飛散シーズンは、体に侵入する花粉をいかに少なくするかが、花粉症対策の重要なポイントです。

花粉の体内侵入を防ぐために、花粉の飛散量が多い昼前後や夕方は外出を避け、外出するとき、外から帰ったとき、家の中にいるときは、次のようなことに気をつけましょう。


◯外出するとき
・マスクの着用
通常のマスクで花粉をおよそ70%減少
・メガネを着用
通常のメガネを使用するだけで目に入る花粉量は減少
・花粉が付着しにくい服装
外出時にはウールは避け、綿、ポリエステルなど花粉が付着しにくい衣類を選ぶ

◯外から帰ったとき
・家の中に花粉を持ち込まない
 建物に入る前に、衣類についた花粉を払い落とす
・うがいと洗顔
 外出先から帰ったらうがいと洗顔をすることでのどと顔に付着した花粉を除去

◯家の中にいるとき
・換気時は窓を小さく開け、時間を短く
・こまめに掃除する

参考:令和5年度森林・林業白書 特集 花粉と森林
政府オンライン:花粉症で悩む皆さま! 早めの治療や予防行動を!

この記事を書いた人

高田裕司(たかだゆうじ)

中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター

親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。

植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。

TAROT

CATEGORY

RECOMMEND

湯治場と温泉の真の力

湯治場と温泉の真の力

湯治場と温泉の真の力 「蒸気」からの吸収と、陰陽バランスを整える発酵食 あなたはセルフメディケーションできていますか?自分の健康は、自分でみて整えていくと いうことが大切です。2025年問題として、後...

フード ボディケア
更年期障害とホルモンの関係

更年期障害とホルモンの関係

最近、全ての病気が若年化しています。若々しくて元気そうに⾒えても、⼈には⾔いにくい体の悩みを持っている⽅も少なくありません。 "更年期障害"もそのひとつで、最近は30代から更年期障害に悩んでいる⽅も実...

フード ボディケア
発酵⾷品の素晴らしい作⽤について

発酵⾷品の素晴らしい作⽤について

ここ数年、年が明けるとお味噌作りをしています。お味噌は⼤寒に仕込むのが良いと⾔われています。「⼤寒」とは、⼆⼗四節気のひとつで、1⽉20⽇〜2⽉3⽇ごろまでの期間を指します。⼤寒は寒さのピークの時期で...

フード ボディケア

KEYWORD

はこじょ施設情報
施設情報 森林セラピー®を活かしたイベントなどを開催しています!

森が教えてくれること

SNS