
皮膚は"第三の脳" -触れるものは、わたしをつくる-
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予防医療という言葉をご存知でしょうか?
私は、知識としてではなく自分の身体を通して知ることになりました。
看護師として夜勤専従で働き、コロナ禍という強い緊張の中に身を置き続けた末に、私はバセドウ病を発症しました。医療者として病気を知っているはずの自分が、なぜここまで気づけなかったのか。今振り返ると、その背景には「休むことを選べない生き方」があったように思います。日々、クライアントさんとのお話をする中でも多くの方が休むことに抵抗を感じ、いろいろな役割を全うして生きているように思います。休むことは、そう簡単ではないことは十分に理解しています。「休んだほうがいい」そう言うのも簡単であることも。実際に休むことを選ぶことは、とても勇気のいる行動です。責任感。人手不足。周囲への遠慮。そして何よりも「まだ大丈夫」という自分への思い込み。医療現場では特に、自分の不調よりも目の前の命が優先されます。その積み重ねが、知らず知らずのうちに身体の声を聞こえにくくしていきました。動悸、発汗、不眠、体重減少。身体は何度もサインを出していたのに、私はそれを「疲労」や「ストレス」という言葉で処理してしまっていたのです。
病気は、ただの不幸なことではない
バセドウ病と診断されたとき、戸惑いと同時に、どこかで腑に落ちる感覚がありました。病気は、突然起こったのではない。ずっと前から、身体は伝え続けてくれていた。そう思えたからです。病気とは、ただ不幸な出来事ではありません。それは、生き方を見直すための身体からのサインであること。本来のリズムを忘れたときに、身体が調和に戻ろうとする呼びかけなのだと、今は感じています。
私たちには、自然治癒力が備わっている
人の身体には、もともと自然治癒力が備わっています。傷を治すこと、免疫を働かせること、バランスを取り戻そうとする力。それは外から与えられるものではなく、本来、内側に存在する力です。しかしながら、過剰な緊張や不安、昼夜逆転や不規則な生活、自然から切り離された環境が続くと、その力は十分に働けなくなってしまう。私自身の身体は、そのことをはっきりと教えてくれました。
森に入ると、身体が思い出す
そして、森林セラピーに触れたとき、私はとても静かな驚きを覚えました。特別なことをしているわけではないのに、呼吸が深くなり、思考がゆるみ、身体の緊張がほどけていく。森の中では、「整えよう」としなくても、自然治癒力が自然に立ち上がってくる感覚があります。木々の香り。やわらかな光。足元の土の感触。それらは、人の自律神経や免疫に静かに働きかけていきます。
人は本来、自然と共鳴して生きている
人はもともと、自然と切り離されて生きる存在ではありません。
森のリズム、季節の移ろい、昼と夜の循環。それらと共鳴しながら、命を維持してきました。森林セラピーがもたらす癒しは、新しいものを得るというより、忘れていた感覚を思い出すことだと思っています。自然の中に身を置くことで、身体は「本来の位置」に戻ろうとします。それは、とても静かで、確かな力です。
予防医療は、検査や薬だけではないこと
予防医療というと、健診や薬、サプリメントを浮かべる方も多いかと思います。もちろん、それらが重要なこともあります。しかし、予防医療はそれだけでは成り立ちません。どんな心の状態で日々を過ごしているか。どれほどの緊張を抱え続けているか。自然とどのくらい離れているか。自然治癒力が働ける余白を、生活の中につくれているかどうか。そこに、予防医療の本質があると感じています。だからこそ、私はクライアントさんとのお話の中で、日常生活を振り返る時間を大切にしています。短い時間かもしれませんが、その会話の中に、必ずきっかけがあると思っています。
医療の前に、在り方がある
医療の力は、命を守るために不可欠です。しかし、医療に頼る前に、私たち自身ができることはたくさんあります。休むことを許す。無理を続けない。自然に身を委ねる時間を持つ。自らの心の在り方が、自然治癒力を支え、それ自体が病気の予防になる。私は自分の経験を通して、そう実感しています。
予防医療とは、病気を防ぐための手段ではなく、自然と生命、そして意識が調和する生き方を取り戻すこと。病気や不調は、立ち止まり、軌道を修正するための合図。身体はいつも、私たちを本来のリズムへ戻そうとしてくれています。その声に耳を澄ませながら、これからの医療と暮らしを、考え続けていきたいと思っています。
そんな私がセラピストとしてお伝えできることは多くあると信じて、2026年も森林セラピーやリフレクソロジー、アロマセラピーをお届けしていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。
現在、冬の土用期間(立春の前まで)です。新しい季節「春」に向けて、前に進むための「立ち止まり」を意識してみてください。休むことは、立派な季節のお仕事です。予定を詰め過ぎず、夜は早めに寝て、無理な決断や大きな変化を避ける。「頑張らない選択」が1番の養生となります。春が来たら、皆さんと箱根の森でお会いできるのを楽しみにしています。
この記事を書いた人

渡邉綾(森林セラピスト)
森林セラピスト、ホリスティックケアプロフェッショナルスクール認定アロマセラピスト、看護師。
登山が趣味で、森が心身にもたらす効果を直に経験し、森林セラピストとなりました。
医療者として治療だけではなく、予防医療の大切さを実感しています。
看護師として、統合医療施設での勤務経験あり。
ケアルーム"Naturan"にて、アロマトリートメントによるセラピストとしてクライアントさんのケアにも携わっています。

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