伝統医学から生まれた癒やしのツール古くから人は、その土地の風土に合わせた「家庭の医学(伝統医学)」を大切にしてきました。
インドのアーユルヴェーダにルーツを持ち、タイで独自の発展を遂げた「ハーブボール」は、布に数種類の生のハーブや乾燥ハーブを包み、てるてる坊主のように丸く包んだもので、コロンとした見た目も愛らしく心が和みます。面で当てるお灸のようなイメージです。
タイではプライ(ポンツクショウガ)、ウコン、レモングラス、コブミカン、バタフライピーのような色素が鮮やで香りも強いハーブが良く使われますが、暑い国で採れる植物はその国の風土で暮らす人に親和性のある生薬であるという観点からいうと、日本にも「身土不二(しんどふじ)」という言葉があるように、身体と土壌は切り離せないものです。日本に自生しているハーブは比較的香りが穏やかな物が多いですし、自分の体質や季節に合わせて中身をカスタマイズできるのも、ハーブボールの大きな魅力です。

年齢を重ね、女性ホルモンの変化を感じる世代こそ植物から得られる癒し効果は感じやすいです。私もその一人です。アロマ精油のような濃縮されたものとは違い、植物そのものの力を穏やかに取り入れる事ができるのも気に入っています。また以下のような悩みを持つ方に特におすすめです。
・PMS(月経前症候群)や更年期のイライラ
・身体の冷え、コリ、むくみ
・呼吸が浅くなっていると感じる時
「治す」ことに執着せず、立ち上る香りに身を委ねてみてください。副交感神経が優位になり、こわばっていた心とカラダがゆっくりと解けていくのを感じられるはずです。
リラクゼーションツールの一つとして気軽に取り入れてみましょう。
【実践:自分を慈しむセルフケア】蒸し器で温めたハーブボールの「湿熱」を、冷えが気になる場所にじわりと移していきましょう。
◆巡りを良くするポイント
腕、太もも、お尻など、脂肪が多く冷えやすい場所を重点的に。太い血管が通る場所を温めることで、温熱が全身へ効率よく運ばれます。
◆チャクラを意識して温める
・第1チャクラ(会陰): 直接温めにくい場所ですが、布を一枚挟んで温めると、大地に根を張るような深い安心感に包まれます。
・第2チャクラ(下腹部・丹田): おへその下あたり、女性にとって大切な臓器が集まる場所です。ここは「生命力の源」とも言われ、優しく温めることで女性ホルモンのバランスを整え、丹田が温まると、エネルギーラインの中心軸が通り、心の安定感に繋がります。
・第3・4チャクラ(みぞおち・胸): マスク生活で呼吸が浅くなっている方はここを湿熱で温めることで強張った胸が開き、自然と深い呼吸が戻ってきます。
・第6・7チャクラ(眉間・頭頂): 働きすぎた脳を休めるスイッチを入れていきます。じんわりと熱を入れ、思考が忙しい時の脳の過活動をリリースして疲れを解きほぐしましょう。
◆手の届かない場所
背中や腰の場合、床にタオルを敷いてハーブボールを置き、その上に寝そべって自分の体重で加減しながら押し当ててみてください。
【ご使用上の注意ポイント】・「温度確認」必ず腕の内側など敏感な箇所で温度を確かめ、火傷に注意しましょう。
・「体調に合わせる」穏やかな作用ですが、その日の体調によって香りの感じ方は変わります。違和感がある時は無理をせずお休みしましょう。
・「色移り」ハーブによっては布に色が付くことがあります。お気に入りのウェアを着ている時はタオルなどでカバーして使いましょう。


【春の養生:肝臓を労わる】三寒四温を繰り返し、冬(陰)から春(陽)へと移り変わる季節の変わり目は、排出を促す「肝(かん)」に負担がかかりやすいと言われています。
春の植物には、解毒作用を助ける力を持つものが多くあります。冬の間に溜め込んだものを手放すために、ハーブの力を借りてみましょう
★ハーブボール四季のレシピ「春」<例>
よもぎ…10g
緑茶…10g
かきどおし…6g
すぎな…4g
たんぽぽ/葉・花…3g
お好きな豆類…20~30g
これらを布で包み蒸して、肝臓のあたりや冷えを感じる場所に当てることで、深部まで湿度と温熱を届け、巡りをスムーズにします。
箱根にも自生しているクロモジの力箱根やすらぎの森にも自生している「クロモジ(黒文字)」もオススメです。この和草ハーブは、高級な爪楊枝の材料としても知られ、枝を折るとリモネンの爽やかで高貴な香りが広がります。クロモジには、血行促進や鎮静、抗酸化作用など多くの薬効が期待されています。
(※箱根やすらぎの森は国立公園です。園内での採取は禁止されていますので、販売されているものをご利用くださいね。)
ハーブボールの何より素晴らしい点は、「自分を大切にしている」という感覚をダイレクトに味わえることです。私が共感し以前学んだハーブボールセラピスト協会のコンセプトに「ハーブボールでエールを送る」という言葉があります。まずは自分自身へ。そして慣れてきたら、大切な家族へ。
植物の温もりを通じて送るエールは、言葉以上に優しく、相手の心に届くはずです。
また、皮膚という臓器は、脳や腸とも深くつながっています。温かなハーブボールで肌に触れることは、自分の内側と対話することに繋がります。 忙しい日常の手を少し休めて、ハーブの温もりに身を委ねてみませんか。
※参考文献:心と体をととのえるハーブボール(永田舞)
この記事を書いた人
小松英恵「はこねのもり女子大学」スタッフ
神奈川県 県西未病観光コンシェルジュ
自身が幼少の頃より未病を感じて過ごして来たことにより自然療法に興味を持ちました。現在はハーブボールやハーブテントを活用して日頃の不調を整えています。今も楽しみながら自分にあった改善の方法を日々模索中。