
清里の森で育つ、未来へのまなざし 〜小金井市立小学校での森林ESDの取組〜
清里の森で育つ、未来へのまなざし〜小金井市立小学校での森林ESDの取組〜森林と教育を結びつける試みは「森のようちえん」など、さまざまな形で各地で行われています。筆者は山梨県清里で、小金井市立小学校6年...
今回は「モンスタープランツ」と呼ばれる植物を紹介します。
初夏から秋にかけて、高速道路や川縁、やぶなどを埋め尽くすツル性の植物を見たことがありますか?
繁殖力が強く厄介で嫌われ者な「モンスタープランツ」。その名は葛(クズ)。マメ科クズ属。実はひと晩、語りたいほど有用な植物なのです。その一端を愉しみながら覗いてみましょう。
今回もいくつかの本を見てみます。(参考図書:「野に咲く花」「野の花えほん」「くらしの薬草と漢方薬」インターネットでも調べます。キーワードがたくさん出てきます。たくさんありすぎます。
「花がぶどうの香り」「葛花」「緑化」「ジャパニーズモンスタープランツ」「世界の侵略的外来種ワースト100」「葛粉」「葛根湯」「葛布」「かご」「飼料」などなど。
まずは花についてです。あまり目にしたことがないのではないでしょうか? 夏の盛りに葉っぱの影でひっそりと咲きます。
マメ科特有の形の花がピラミッド状に集まっています。ファンタグレープの甘い香り。
ぜひその香りを探しに出かけてみてください。
暑さから花を葉の影に避難させているのもあると思いますが、虫たちが快適に蜜を採取できるように涼しい木陰で咲かせているのだと思います。
朝の早い時間にいちばん香るのは、これもまた彼らが動きやすい時間に合わせているから。まるで香り高いコーヒーと美味しいモーニングを提供してくれる涼しい喫茶店ですね。
その昔、アメリカでは「緑化対策」のためクズを輸入しました。それまでアメリカにはクズはなかったのです。
今ではすべてを覆い尽くし「ジャパニーズモンスタープランツ」と呼ばれ「世界の侵略的外来種ワースト100」にランキング。
インターネットで「Monster plant kudzu(アメリカでも葛はクズ kudzuと呼びます)」を画像検索してみるとその凄さを見ることができます。
映画まで出来てしまいました。その名も「クズ・ゾンビ」。私はホラーが苦手なため見ておりませんが興味のある方はぜひ。
そして、お気づきでしょうか? 日本では厄介者とは言え、全てを覆い尽くしてはいません。
植物とその地域にいる昆虫や動物そして風土はすべて密接に関係しています。クズの天敵は先ほどの喫茶店に集まる虫たちの中にいます。
それが「オジロアシナガゾウムシ」「マルカメムシ」です。
私は毎年クズの花を採取しますが、虫がとても多くいるので採取後、外で2時間くらいザルに入れ陰干しします。がしかし、花の奥にまで虫が入り込んでいます。
丁寧に取り除いてください。とくにマルカメムシ。におう!におうんです。カメムシだから。
花は生でも食べられるのでサラダの彩りにしたり、シロップ漬けにして花酢を作ったり、乾燥させて粉にしたものに蜂蜜を混ぜて丸薬(二日酔いに効くとのこと)にしたりします。
乾燥させたものはお茶にしても美味しいです。ただしマメ科は微毒がありますので大量摂取にはご注意ください。
生薬名は「葛花(かっか)」。近頃は「クズの花由来、イソフラボン」のサプリメントのCMもよく見かけますね。
大変です。クズが好きすぎて花だけでこんなに長くなってしまいました。
まだあれもこれも知っていただきたいので、少し紹介します。
クズは全部が有用なので、いろんな体験ができます。
新芽を天ぷらや塩茹でにして食べたり、葉っぱをお茶にしたり、ツルで籠を編んだり、「葛布」を作ったり。有名なのは根っこの「葛粉」と「葛根」。
私は葉っぱで染め物が未体験です。葉っぱは昔は飼料としても使われていたそうですよ。
厄介なものだからこそ、昔の人の知恵を拝借し、楽しんで利用しながら共存できる生活をしていきたいですね。
あ、前回ご紹介した「アカザ」ですが、杖を完成させることができました! これで私も仙人です。
この記事を書いた人
はやぶさ きみ枝(はやぶさ きみえ)
『雑草研究所』所長
グラフィックデザイナー。猫飼い。イベントや観察会を通して、植物の面白さを多角的視点で発信し実践する生活をしている。
雑草研究所
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