新年が始まり、初詣に行かれた方も多いことと思います。古来より続いている行いには、よく考えてみると深い意味があるものも少なくありません。 今回は、自然に囲まれた寺社でのお祈りで期待できる健康保養効果についてみていきます。
森林セラピーの健康保養効果
森林セラピーには、森林浴等による健康保養効果があります。これまで効果が確認されている健康保養効果として、以下があります。(参考:
NPO森林セラピーソサエティ )
①ストレス状態の改善
②意欲・エネルギーの回復
③身体の痛み等の自覚症状や気分の改善
④自律神経系の改善
⑤リハビリテーション効果
最近筆者は身近なところでこういった効果に近いものを実感しています。それは、ほぼ毎週行っている自宅近くの鎮守の森がある神社でのお祈りです。簡単にご説明します。
週末の夜は、神社でお参り
木曜日や金曜日の週末の夜10時頃、仕事帰りに少し回り道をして神社に行きます。 その時間、神社の境内はたいてい私一人ですが、夜遅くでも神社には電灯がついていて、いつでも参拝者を受け入れてくれています。
筆者は財布に残っている小銭を一掃するかのように拾い集めては、お賽銭箱に喜捨(きしゃ)*し、お祈りします。
このお祈りには、健康保養効果があるのではないかと考えています。
二礼二拍手一礼
お参りの作法として、よく二礼二拍手一礼と言われますが、簡単に筆者なりにお参りの仕方を説明します。
背筋を伸ばし、腰から上を折り曲げ、頭を下げ二回礼をします。胸元やや上に両掌を合わせ、二回手をたたき、目を閉じて、この一週間の報告やお礼やお願いをお祈りします。
このとき耳を澄ますと、神社の鎮守の森の樹々が風に揺れる音など、自然の雑多な音が聞こえてきます。神聖なるもの、あるいは精霊やもののけというのでしょうか、目に見えない何かを感じようと、身体の感覚を開くように行います。その間、時間にするとわずか2−3分。その後目を開け、一礼をしてお参りは終わりです。
鎮守の森でのお参りは、森林浴とマインドフルネス
寺社でのお参りに、どんな健康保養効果があるのか、そういったピンポイントの研究がこれまであるのかについては、まだ詳しくは調べていません。それでもこれまでの知見を合わせてみると、以下の2つの側面から、健康保養効果が期待できるのではないかと思われます。
1)鎮守の森による森林浴効果
鎮守の森とは、神社を囲むようにしてある森のことですが、神様が鎮座する森という意味もあります。大事に守り育てられてきている鎮守の森があるような寺社では、森林浴効果が大いに期待できるものと思われます。
2)お祈りによるリラクセーション効果
お祈りは背筋を伸ばして行いますが、背筋を伸ばすことは自律神経の働きを整えます。また、お祈りには瞑想やマインドフルネスと同じく、心を落ち着けるリラクセーション効果もあります。
自然の中でのお祈りは佐藤初女さん
筆者にとっては、自然の中でのお祈りといえば、佐藤初女さん。1992年、青森県の弘前市に「森のイスキア」を開所し、心づくしの手料理をふるまい、心病んだ人々の助けとなってきた方です。佐藤初女さんは、すべてはお祈りと言っていて、おむすびを作ることもまたその延長にありました。今でいうマインドフルネスの実践とも重なります。
その佐藤初女さんの命日は2月1日です。この日はさらにいつも以上に、佐藤初女さんにならい、鎮守の森の中でお祈りを深めたいと思います。
*喜捨(きしゃ):喜んで捨てると書きますが、仏教用語で、進んで寺社や貧者に金品を寄付すること。「布施」と同義。いま風にいうとボランティアや社会貢献に通ずるものがあるかと思います。
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。