あなたはタイトルの◯◯に何を入れることができますか?
誰か大切な人の名前が入りましたか?
それとも何か別のこと?
もう少しイメージしやすいように考えていってみましょう。
例えば、予期しなかったとても大変なことが起こったとします。
あなたは大ピンチ!!仕事、学校、プライベート、どんなことでも構いませんが、よろしければ少し想像してみてください。
恋人にフラれ、頭の中が真っ白に…
大ピンチというと、ある人は、こんなことを話しました。
「恋人にフラれました。その人とは何回か会ったんです、そしてまた会いたかったのに、突然『もう会えない』と言われて…。実はかなり昔にあったことなんですが」
続けて、
「もうそのときは、ほんとにびっくりしてしまい、頭の中が真っ白という表現がぴったりで、パニックでした。」
それでも、その方は、なんとかその場をくぐり抜けてきたそうです。
切羽詰まっているときの切り抜け方
私たちは、ほんとに切羽詰まっているときには、何も考えられないくらいであると思います。
そんなときには、はたしてどうやってそこを切り抜けたらよいのでしょうか。
そのためには、たとえば2つの方法があります。
① 間を置いたり、頭をほぐしたり、気をそらしたりする
② 大切な意味をみつける
① 間を置いたり、頭をほぐしたり、気をそらしたりするまずは間を置いたり、頭をほぐしたり、気をそらしたりしてみましょう。
例えば、ため息や深呼吸をゆっくりと10回くらいして、少し間をとり、心を落ち着かせてみるのもよいでしょう。
あるいは、別の場所に移動してみるのもよいでしょう。
席をたって、別の場所に歩いていってみましょう。
また、目を動かすのもよいです。
視点を固定させずに、視点を右に左に、遠くに近くに動かしていると、頭がほぐれてきます。
何か他のことに考えをそらすのもよいでしょう。
たとえば、
「明日のお昼ご飯は何食べよう?」と考えたり、
お菓子が目に入ったら「これどんな味がするのかな?」などと考えたりしてみるだけでも、気をそらすことができます。
そうやって、間を置いたり、頭をほぐしたり、気をそらしたりすることで、パニック状態から抜け出すきっかけがつくれます。
② 大切な意味を見つける心が一段落して、少しは何か考えられそうになったら、次には、「なんでこんなことやってるんだろう?」などと心の中でつぶやいてみてください。
さらに、「こんなことをしていて何の意味があるんだろう?」などと考えをめぐらせてみます。
大切な意味を見出せるかどうかが分岐点
関連して、第二次大戦中のナチスのアウシュビッツの話を紹介します。
強制労働させられた人たちも、程度の差こそあれ、同じように「こんなことをしていて何の意味があるんだろう?」などと真剣に考えたと思われるからです。
オーストリアの精神科医のヴィクトール・フランクルは自らの強制収容所体験を元に『夜と霧』という著作を出しました。
イスラエルの医療社会学者のアーロン・アントノフスキーは、強制収容所から生還した方たちの健康状態を研究して、過酷な状況を経験してもなお心身の健康を保ち長寿を全うした方たちに共通する感覚として、「SOC(Sense of Coherence)」(首尾一貫(しゅびいっかん)感覚)というものを見出しました。
アントノフスキーは、これを元にストレス対処の理論を打ち立てています。
そして、フランクルとアントノフスキーに共通するのが、「意味を見出す」ということでした。
どんなにつらいことがあっても、そこに自分にとっての大切な「意味を見出す」ことができるかどうかが、心身の健康を維持していけるかどうかの別れ道です。
意味を見出すというのは、
たとえば、「このつらさは、私が、将来大事な人と会うために、そのためにいまは大変なことを敢えてしておきなさい、と神さまが与えてくれたのかな。
そうしてもっと人に優しくなれたら、わたしは最愛の人に出会えるんだわ必ず」などと、いまやっていることに、何らかの大切な意味を持つことです。
いったい何の意味があるの?
さきほどの話に戻ります。
パニック状態を脱して、落ち着きを取り戻して、考えられるようになったら、「これって、私にとってどんな意味があるんだろう?」と考えてみます。
そして、あなたにとっての大切な意味を見出すことができたなら、あなたはそのストレスをバネにして、さらに力強く、そして健康になっていけることと思います。
① 間を置いたり、頭をほぐしたり、気をそらしたりする
② 大切な意味を見つける
なお、こういったことは、森をお散歩しながら、気分をリラックスしながらやってみると、さらに新たな意味も見つけやすくなるでしょう。
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。