前編では自然欠乏症候群について簡単に説明しましたが、この後編では、自然欠乏症候群を防ぐためにはどうしたらいいのか、その処方箋をご紹介します。
日常生活で自然が不足しがちだな、という方々は是非参考にしてください。
また、前編で書きましたが、ヒポクラテスが喝破したように、「自然に近いほど長生きできる」というように、今よりさらに健康に長生きするためにも、ご参考にしていただければ嬉しく思います。
自然欠乏症候群を防ぐための3つの処方箋① 自然なものを意識して生活に取り入れていく
② ケミカルなものを不用意に取り過ぎない。デジタルに頼り過ぎない
③ “こだわり”にこだわり過ぎない
以下で、ひとつずつ説明します。
① 自然なものを意識して生活に取り入れていく
まず、日常でできることとして、身の回りに自然に近いものを取り入れていくこと。
かわいいお花や緑を生活空間に置いておくだけでも、心に彩りや潤いを与えてくれるでしょう。
食事では、農作物であれば、農薬や化学肥料に頼りすぎず、その土地の栄養分をたっぷりと吸収した旬のもの、なおかつ近場でとれた新鮮でみずみずしいものが、私たちの体にその季節に必要なものをしっかりと与えてくれます。
さらに、作り手のあったかい心が感じられるものであるならば、体のみならず心までも栄養たっぷりに満たされます。
また、休日などオフタイムに不足している自然を取り入れる方法もあります。
自然豊かなところに出かけ、森林セラピー®(森林散策、森林安息、マインドフルネス、ヨガ)などで自然の恩恵を体いっぱいに吸収するのもよいでしょう。
よりアクティブにということであれば、山登り(森ガール)やキャンプ、フィッシング、アスレチック、カヌーや波乗りなど、自然の中でアウトドアスポーツやレジャーを楽しむのもよいでしょう。
なかなかまとまった時間がとれないという場合には、近場の緑豊かな公園でくつろいだり、遊んだりということでもよいでしょう。
② ケミカルなものを不用意に取り過ぎない。デジタルに頼り過ぎない
日本は添加物大国と言われるほどに食品添加物過多の傾向にあります。
化学調味料、合成着色料、合成保存料などの添加物にはそれぞれ重要な役目があります。
ただし、化学的・合成的なものは度が過ぎれば、自然から遠ざかるにとどまらず、体に害となってしまう危険性も出てきてしまいます。
ケミカルなものは必要最低限にとどめましょう。
そして、現代人にとってはなかなか手強いのが、デジタルではないでしょうか。
スマホ、ゲーム、TV、ネットなど、デジタルなものは、簡単便利で楽しいものであふれているように見えます。
これらは脳にとっては刺激的であるため、日常生活のストレスを紛らわせてくれたりもします。
ただ、それだからこその依存性や中毒性があるのも事実です。スマホ中毒やゲーム依存症ともなれば、昼夜逆転により生活習慣が乱れ、学校や仕事や人間関係よりもスマホやゲーム優先となり、社会生活を壊していってしまいます。
デジタル依存傾向のある方は、食事中や会話を楽しむときにはスマホに触れないようにするなど、自らマイルールを決めてデジタルをうまくコントロールしていくのがよいでしょう。
③ “こだわり”にこだわり過ぎない
摂食障害といえば拒食症や過食症ですが、新しい摂食障害と言われている『オルトレキシア』という病気があります。
これは、無農薬の玄米がいいとか、化学的な食品添加物が入っていないものがいいとか、そういった健康志向へのこだわりが過度になってしまい、こだわりのものしか食べられなくなり、栄養が偏り過ぎて、栄養失調にまで陥ってしまうという怖い病気です。
自然を取り入れていくのがよいことは間違いありませんが、かといって「こんなものは絶対に食べちゃダメ! こっちにも添加物入っているわね、ほらこっちもそう…。こんなの食べてたら絶対に身体によくないわ、無添加のものしかダメよ!!」などと強迫的になり心苦しいまでになってしまうようでは、逆効果です。
それよりは、「いいのよときには添加物だって、全て完璧にはいかないわ。完璧なのって逆に不自然じゃない?!」くらいに考えた方が、心にゆとりが生まれ、心美人で健康でいられるでしょう。
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。