アーユルヴェーダ式・花粉症のセルフケア
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秋の野に 咲きたる花を
指折りて かき数ふれば
七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花(おばな)葛花(くずばな)
撫子の花 女郎花(おみなえし)
また藤袴 朝貌(あさがお)の花
― 万葉集(山上憶良)
秋の七草は、『万葉集』の秋の雑歌に収められているのですが、いずれも秋に花を咲かせるもの。
そして、春の七草は、七草粥にして“食べること”を楽しむものですが、秋の七草は、秋の野に咲く花を“見ること“を楽しむものと言われています。
これらは一斉に咲き揃うわけではないのですが、この時期、散策をしながら野山を回るのもまた楽しそうですね。
ところで、秋の七草は観賞用だけではなく、実は古来から薬草として使われてきたという一面がありました。その中でも、薬用として私たちの生活に浸透しているものといえば、葛なのではないでしょうか。
葛というと、花よりも、根から得られる澱粉を精製して作られる食用の粉—葛粉を使った葛湯、葛菓子などからはじまり、茎を使った葛布、葛袴など、様々な使い方があって、日本人の生活に根付いていることがわかります。また、漢方薬としての葛根湯も馴染み深いですよね。
しかし、葛は日本のどこでも見ることができる一方で、根の採取は大変困難です。
苦労していくら太い根を掘ってみても澱粉量が少ないものもあり、割に合わない作業とも言われます。
またその後、何度も水にさらすなどの手間がかかることから、生産量も少なく高価であるため、現在『葛粉』として市販されているものの殆どは、サツマイモやジャガイモなどのデンプンとなっているのが実情です。
ちなみに葛の根から作られる粉は『本葛粉』と表記されています。
少し高価かもしれませんが、葛を使うと滑らかで口当たりが良くなるばかりではなく、含まれる栄養素は実に多彩で、豊富な鉄分の他、マメ科由来のイソフラボンも多く含まれています。
優れた抗酸化作用を持つばかりか、血行を促進する効果もあるので、冷え性の人の体質改善にも最適とも言われ、特に女性は積極的に生活に採り入れたい食材と言えるでしょう。
葛を練るというと、これもまた手間がかかりハードルも高くなりがちですが、まずは料理にとろみをつける時に片栗粉の代わりに使ってみてください。ぐっと味がまとまりますよ。なお、実際に葛を採取する際は、くれぐれも土地の所有者の許可を得てから実施してくださいね。
この記事を書いた人
袖山 洋子
日本伝統食文化協会代表理事
日本の伝統的な食文化についての知識を広めるべく、現在忘れられつつある日本の季節の行事食や伝統食材などにスポットを当てたイベントを多数開催。
日本の伝統食の見直しや普及活動(米食、発酵食、日本の伝統調味料など)を地域活性も絡めて志向し『食を通した社会貢献』を目指す。
http://www.nihondentoshoku.org/
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