森林セラピーで重視していることのひとつは、「五感を使う」ということ。
「五感を開く」と言いますが、いま、日常生活では五感の使用に偏りが少なからずあり、使われていない五感は閉じられがちです。
五感は人間が健康に生きていくために必要ですが、使わなければ感覚が鈍ってきたりして、健康にも影響が出てきてしまいます。
今回は、五感の中でも、触覚、特に足の裏の感覚を取り上げます。
オフィスで裸足になるサラリーマン
ストレスに関連して、サラリーマンをしているある男性から、こういった話を聞きました。
いや、ちょっと恥ずかしい話なんですが、オフィスで私、人目を忍んで裸足になっちゃうんです。
裸足になりたくて。もともと嫌いなのかな、靴下や靴で締め付けられるのが、なんか足が窮屈なんですよね。
だから、解放されたいというか。気持ちいいんですよ、裸足になると。
ホッとするというか、もちろんお客様の前では絶対にやりませんが(笑)。
なんでですかね? でも、今はこれが私のストレス解消法かな
どうでしょうか? こういった感覚、何となくわかりますでしょうか?
筆者は、<なるほど、わかるような気がする。ただ、それが正しいとしたら、そこに証拠というか、科学的な裏付けはあるんだろうか? いや、きっとあるに違いない>などと思いました。
そこで早速、裸足について少し調べました。
足裏は第二の心臓
調べると、「足裏は第二の心臓」と呼ばれていることがわかりました。
足裏マッサージ、リフレクソロジーの説明では、「心臓が全身に血液を送って健康を維持しているように、足裏も全身に刺激を与えて健康を維持している」とありました。
また、「足裏には多くの重要なツボがあり、ツボを刺激することで血行が促進され、症状を緩和改善することができる」とも。
そして、裸足で走ることについての興味深い研究もありました。
米のノースフロリダ大学の研究チームが2016年5月に発表したものですが、「裸足で走った場合」、走った前後で比較すると、走った後の方が平均で16%もテストの成績が向上したそうです。「靴で走った場合」には、前後での成績にはほとんど差がありませんでした。
この結果について、トレーシー・アロウェイ博士はこう説明しています。
「裸足の場合は、正確に着地してバランスを崩さないよう、また地面の危険な物を踏んで怪我をしないよう、注意深く集中して走ります。そのことが脳の記憶中枢を刺激したと考えられます」と。
足裏を刺激することは、健康にもよく、また脳の記憶にも良いということが科学的に解明されてきているようです。
実際、足裏健康法はちまたにあふれていますし、幼稚園などで子どもたちの健康な成長のために、裸足での活動を積極的に取り入れているところも多くあります。
自然に触れて健康になる!
森林セラピーとの関連で、さらに興味深かったのは、医学博士の堀泰典氏が提唱している、体内静電気を抜く「アース健康法」でした。
(参考書籍:堀泰典『はだして大地に立つと病気が治る』マキノ出版)
体内静電気とは、冬にバチっとする体表静電気とは異なり、私たちの体内にたまっている静電気のこと。
体内静電気が体内で増えると、細胞を傷つけるなどの悪さをして、さまざまな病気の元凶になるそうです。
「体内静電気を抜けば、たいていの病気は改善も予防もできる」と博士は言います。
この体内静電気を抜くための方法が、「裸足で大地に立つ」というシンプルな方法です。
砂浜など、大地を裸足で歩いて気持ちがいいのは、「体の中にたまった体内静電気が大地にアースされる、つまり外へ抜けていくから」とのこと。ただし、アスファルトはほぼ絶縁状態であるため、裸足で触れても電気は抜けません。
なぜ大地がいいのかについては、大地(地球)は電気をよく通す伝導体であり、しかも常にプラス電子とマイナス電子がキャンセルされた0(ゼロ)ボルトの状態にあるのがよいのだそうです。
皆さんも、よろしければ一度試してみて、効果のほどを実感してみてください。
博士オススメの「体内静電気を簡単に抜く方法」
1)裸足で立つなど、素肌を公園や庭などの大地に触れさせる2)自然の樹や植物に手で触れる。1ー2秒でOK3)1日に触れる回数や面積を増やすとさらによい「実は、かつての日本人は、日常生活の中で自然に体内静電気を抜いていた」のだそうです。
しかし、現代の生活は、自然と肌で接触することが少なくなってしまっています。
「体内静電気を抜くには、大地や川、海といった自然に触れることがいちばん」なのだそうです。
筆者もできそうなところで、意識的に、さらに自然に触れていきたいと思います。
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。