暑い日々、エネルギッシュな夏の終わりが近づくと同時に、季節は秋へとまっしぐら。
季節の変わり目には、気温差や環境の変化で体調を崩しやすくなる人も多いのではないでしょうか。
今回は、これから迎える秋を楽しむための、健やかな暮らし方をご提案いたします。
スイッチング時期の秋
四季のある日本に住む私たちは、春から夏にかけては副交感神経(リラックス時に働く神経)が優位になり、秋から冬にかけては交感神経(緊張・活動時に働く神経)が優位になります。
気温が低下するにつれて、私たちの体は交感神経優位にシフトしていきますが、この変化がスムーズに行われないと、ホルモンリズムが崩れたり、免疫機能が低下し風邪を引きやすくなったりと様々な症状が現れてきます。
また、この時期は、気圧や寒暖の差が激しいため、体が気候の変化に適応出来ずに体調不良の要因となることもしばしば。
夏の猛暑から一転、気温がグッと下がる日も多い秋。
少しずつ体のリズムを整えて涼しい季節に備えていくことが大切です。
食欲増進の秋
秋には、多くの作物が収穫の時期に突入し、産卵期を迎え栄養を蓄える魚が増えるため、野生の動物たちはこれらを食べて冬に備えエネルギー源を確保する習性があります。
人間も同じように秋になるにつれて、食欲が旺盛になります。
その理由は、暑さによって食欲が低下しがちだった夏が終わり、気温が下がって食欲が戻るためです。
また、夏から秋に移り変わると日照時間が短くなり、セロトニン(食欲の調整に関わる物質)が減少してしまう傾向にあるため、秋になると食欲が増進すると考えられています。
沢山食べることでセロトニンを増やし、精神の安定を保とうとするのだそう。
秋におすすめな栄養素
減少してしまうセロトニンを補うために、バナナや大豆などを摂り入れることも大切ですが、秋には乾燥予防の食べ物をプラスすることがおすすめ。
寝苦しい夏とは打って変わり、朝晩の冷え込みが強くなる秋は、夏に盛んに行われていた皮膚呼吸による水分や老廃物の代謝が少なくなります。
その結果、気管に負担がかかり鼻や喉に症状が現れやすくなるのです。
その上、乾燥した空気が鼻や喉の粘膜を刺激して、症状を悪化させやすくしてしまうのが秋の特徴。
梨やぶどうなどの旬な果物は、不足しがちなビタミン・ミネラル類が豊富に含まれているだけでなく、潤いを補ってくれる食べ物です。
特に梨の皮は、喉や肺を潤して咳を止め生薬として用いられているほど。
また、季節の変わり目で肌荒れや冷え症などの症状がある方は、ひじきやあさり、いわしなどの魚介類、鶏肉などの補血作用のある食べ物がおすすめです。
辛味で体を整えよう
東洋医学の観点から見ると、秋は「肺」の働きが乱れやすい季節。
「肺は宣発(発散させること)・粛降(綺麗にする・下降する)を司る」といわれ、肺気を体外へ発散させたり、酸素や栄養素を体の下の方へ送り出したりする働きをしているとされています。
そのため、肺の抵抗力である肺気が足りないと、全身のエネルギーが足りなくなって息切れなどの肺症状のほか、元気が出ない、風邪を引きやすいなど全身的な不調症状が現れやすくなることに。
また、秋は物悲しい季節といわれ、「肺」は悲しみや憂う感情に影響されやすく、悲しい気持ちが肺気を消耗し、肺気がなくなることでため息が増えたり、気力がなくなったりするなどの症状がみられるのだとか。
こんな秋の症状には、「肺」を補う辛味を食卓に摂り入れることが効果的とされています。
唐辛子やネギ、生姜や胡椒などスパイスを摂り入れることで、発汗や発散の作用を高めて肺気の巡りを良くしましょう。
ただし、「肺」は大腸と協力し合って機能するため、摂りすぎると大腸に負担がかかるため摂りすぎには注意してくださいね。
森林浴がぴったりの季節
暑さが和らぎ、気温が下がるにつれて交感神経が優位に働き出すと、おのずと体がリラックスする時間が減少します。
そのため、意識的にリラックスする時間を作ってあげることも、季節の変わり目を健やかに過ごすポイントとなります。
休日には自然に触れ合い、思い切り深呼吸をする時間を設けてみてはいかがでしょうか。
季節の変わり目、秋の匂いを五感で感じられるはずですよ。
この記事を書いた人
岩間 歩
ヘルシーフード&ヘルスケア インストラクター
健やかに毎日を過ごすために必要なTipsを提案。
こころとからだに嬉しいヘルシーフードに特化。
執筆やレシピ提供、イベント開催など幅広く活動中。
フード、ヘルスケア全般の記事を担当。