~森は女子の味方~
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森のイスキア 佐藤初女さんを偲んで 〜善き思い、善き言葉、善き行動〜

森のイスキア 佐藤初女さんを偲んで 〜善き思い、善き言葉、善き行動〜

フレディ・マーキュリー父「善き思い、善き言葉、善き行動」

Queenの映画「ボヘミアンラプソディ」の中で語られたこの言葉、ストーリーの根幹をなす重要なテーマでもありました。
筆者がこの言葉を聞いて、まず思い浮かべたのが佐藤初女さんでした。
佐藤初女さんは、2016年2月1日、94才で天に召されました。それから早くも3年が経ちました。
森林セラピストとして、人として受け継いでいきたい、佐藤初女さんの「思い」「言葉」「行動」をいくつかご紹介します。


何もしていないのに、唯一無二のこと

佐藤初女さんは、青森県弘前市の岩木山の麓、世界自然遺産「白神山地」のすぐそばに「森のイスキア」を開設していました。自らのお人柄と自然で家庭的な心づくしの手料理によるおもてなしとで、多くの悩める人々の救いとなってきた方です。
とても不思議であり、かつ尊敬してやまないのは、初女さんは何もしていないかのようであるのに、何にも代えがたい唯一無二のことをされているということです。

とても幸せなことに2012年7月に筆者は家族と仲間と共に、森のイスキアに3日間お邪魔させていただく機会をいただきました。わずかな時間ではありましたが、とても密度濃い幸せな時間を過ごすことができました。(*1)
そのとき身にしみて感じたことは、初女さんと共にいると、こちらが‘透明’になるというか、清められるような感じになるということでした。
またそれは「癒される」ということでもあり、「背すじがピンと正される(心地よい緊張感)」ということでもありました。


「葉っぱのように、‘透明’になって生きていきたい」

考えてみると、このことは樹木にも似ています。なぜなら、樹木にも「癒し(リラックス)」効果と「リフレッシュ」効果があるからです。
そういった意味では、初女さんは樹木のような人であったとも言えます。

初女さんは、著書の中で次のように言っています。
「『森のイスキア』の窓の外に美しく光る葉は、一枚一枚が“透明”です。
人もまた、このように“透明”になって生きていきたい、わたしは、ずっとそんなふうに思ってきました。」(*2)

筆者があのとき森のイスキアで感じた“透明”感は、このような初女さんの「思い」にあったのだということが、後からわかりました。

さらに初女さんの著書には、“透明”について、以下の記述もあります。
「人というのは、常によくなりたい、まわりによく見せたいというのがありますから、自分が話すときに、何か余分に自分を説明するようなことを言ったり、相手を喜ばせるようなひと言をつけ加えたりしたくなります。
でも、わたしは、そういったことは“透明”に入らないのではないかと思うのです。」(*2)

なお、このことについては、今をときめく音楽家の星野源さんが、似たようなことを言っていました。ビールのCMで、妻夫木聡さんから「個性とは?」と聞かれて、次のように答えています。
「エゴっていうものが一番なくなったときに、その人の個性っていうのが出てくると思ってて。こう見られたいとか、そういうものを思ってるときって、個性って死んでる」(*3)

初女さんがいう“透明”とは、星野源さんがいう“エゴがない”ということと近いものだと思います。
だからこそ、初女さんからは“個性”が際立って感じられ、「唯一無二」の存在であったのかもしれません。


病や弱さにこそ大切な意味がある

佐藤初女さんについてご紹介したいことは尽きません。さらにほんの一部ですが、以下ご紹介します。(*4)

「重みというのは、人にとって負担になるもの、よくないものと考えられがちですが、ある程度の重みは安心感を与えるのではないかと思うのです」
「病や弱さにこそ大切な意味があります」
「健康であることはありがたいことですが、健康であるために見失ってしまうものもあるのではないでしょうか」

初女さんは10代のときに肺浸潤という病にかかり、寝たり起きたりの生活を続けていました。その病気が完全に治ったと感じたのは35才の頃といいます。
こうした経験をされてきたからこその、初女さんの「思い」「言葉」であり、それらを土台に森のイスキアが成り立っているのです。

「こころが揺れてもいいのです。揺れても、芯が1本通っていればいいのです」
初女さんの目には白樺の若木が映っています。
「風に翻弄されて、枝をしならせています。けれど、よく見てみると、幹だけは毅然(きぜん)として動かないのです」
それを見て、一本芯が通っているのはこういうことだと思ったと記しています。

このあたりが、初女さんが人を惹きつけて止まないところかと思います。
明るいこと・健康なこと・ポジティブなことばかりにスポットライトがあたり、はやし立てられ過ぎると、暗いこと・マイナスなこと・ネガティブなこと等については、ほとんどが否定され、拒否されがちになります。
初女さんは、必ずしもそうではないんだよと、マイナスなことにも正当な価値を見出しているのです。とてもありがたいことです。(*5)


善き思いが、善き言葉となり、善き行動となる

「思い」が「言葉」となり、「行動」となる。
初女さんから感じたのは、その全てに「善き」が付く、「善き思い」「善き言葉」「善き行動」であるということです。
そして、忘れてはならないのは、初女さんの“透明”のモデルは、森のイスキアのまわりに美しく光る「葉っぱ」であり、「心が揺れてもいい」と思い至ったとき目に映っていたのは、白樺の若木の枝や幹であったということです。
さらに初女さんにならい、樹々や森から多くのものを見ならっていきたいと思います。

(引用文献等)
*1.筆者が2012年7月に森のイスキアに訪問したときの写真の一部は、「〜森のイスキア 佐藤初女さんの一周忌に寄せて〜 森林セラピストとして受け継いでいきたいこと」http://hakojo-lab.jp/media/2017/02/10/61 に掲載しています。
*2.佐藤初女『限りなく透明に凜として生きる』2015年、ダイヤモンド社
*3.星野源出演『サッポロ生ビール黒ラベル』テレビCM、2017年
*4.佐藤初女『初女お母さんの愛の贈りもの』2002年、海竜社
*5.筆者が当サイトで初めに書いた記事「心は地球で、感情は天気みたいなもの」http://hakojo-lab.jp/media/2016/09/08/17 は、佐藤初女さんや臨床心理学者の河合隼雄先生の影響も受けて書いたものです。

この記事を書いた人

新行内勝善(しんぎょううち かつよし)

心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。

東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。

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