
森は私たちのセラピスト〜七十二候が教えてくれる移りゆく自然の時間〜
東洋医学には『天人合一(てんじんごういつ)』という言葉があります。人の体も自然の一部。七十二候が告げる小さな変化は、そのまま私たちの体の内側で起きている変化でもあります。そして日本には「七十二候(しち...
リトリートとは、もともと英語で「退く」「退避する」「静かに引きこもる」という意味があります。宗教的な修行・瞑想(スピリチュアルリトリート)でも古くから使われてきました。たとえば、禅の修行では「接心(sesshin)」という集中した座禅の期間があり、日常から離れて心を深く見つめる時間とされています。
現代では、宗教的だけに限らず、身体・心・暮らしを整えるために日常生活から距離を置く時間や場所としてリトリートが注目されています。スピリチュアル、瞑想、ヨガ、ウェルネス、デトックス、自然体験など多様な形が存在しています。(ウィキペディアより)
どこか遠くへ行くことだけがリトリートではなく、日常の中で背負っている役割や期待から、ほんの少し身を引き、自分自身の感覚へ戻っていく時間のことも指します。忙しさが続く毎日の中で、私たちは知らず知らずのうちに、「ちゃんとしなければ」「頑張らなければ」という軸で生きています。その軸は、社会の中ではとても大切ですが、気づけば自分の気持ちや身体の声が、後回しになってしまうことがあります。
そんなときに出会ってほしいのが、森林セラピーというリトリートです。
森林セラピーは、森という自然の中に身を置き、五感をひらきながら、心と身体を整えていく時間。何かを達成する必要はありません。歩いてもいいし、立ち止まってもいい。ただ森にいる、それだけでいいのです。森に入ると、空気のやわらかさ、光の揺らぎ、風の音や足元の感触が、自然と身体に届いてきます。すると、呼吸が少し深くなり、肩の力がふっと抜けていく。「なおそう」「もどそう」と意識しなくても、環境が変わるだけで、身体はちゃんと反応してくれます。
特に女性の身体や心は、とても繊細です。月経周期、妊娠や出産、更年期へとライフステージごとに変化を抱えながら、同時に仕事や家庭、人との関係の中で生きています。理由ははっきりしないけれど、疲れが抜けない、気持ちが揺れる、眠りが浅い。そんな感覚を抱えている方も多いのではないでしょうか。
看護師として現場に立ってきた中でも、検査では異常がないけれど、「つらい」と不調を抱えている方をたくさん見てきました。その姿に触れるたびに、治癒とは、医師や薬によって治してもらうことだけではないという事に気付かされました。
治癒とは癒されながら整いながら、少しずつ本来のリズムを思い出していくプロセスであるということ。そのためには、安心できる場所と急がされない時間が必要だと考えます。
森林セラピーで森に入ると、「こうあるべき」「ちゃんとしなければ」という外側の軸からそっと距離をとらせてくれます。評価も役割もない場所で「私はどう感じている?」と、自分に問いかけることができます。
森林セラピストは、森の中で出会う植物の一つ一つを触って薫ってみて、どんな感じなのかを問います。その体験が、少しずつ自分軸を取り戻す感覚につながっていきます。検査では異常が見られない不調はつらいものです。女性特有のホルモンの影響もありますし、そういった揺らぎは、弱さではありません。むしろ環境や変化を感じ取る、身体の繊細な機能で、その感覚を否定せずにやさしく整えていく時間だと思います。
そういった意味でも森林セラピーとリトリートはとても相性が良いと感じています。
自然は、何かを教えようとしたり、変えようとしたりはしません。ただ、そこに在り続けます。その静けさの中で、私たちは少しずつ自分自身の治癒力を思い出していくのかもしれません。何かを足すのではなく、いったん離れる。急ぐのではなく立ち止まる。
森林セラピーというリトリートは、自然との関係の中で、自分軸と心身のバランスを取り戻すための、やさしくて確かな選択なのだと思っています。
でも、1人で森の中に入るのは…という方も多いはずです。
そんな時には、森林セラピストの私を頼っていただければと思います。
この記事を書いた人

渡邉綾(森林セラピスト)
森林セラピスト、ホリスティックケアプロフェッショナルスクール認定アロマセラピスト、看護師。
登山が趣味で、森が心身にもたらす効果を直に経験し、森林セラピストとなりました。
医療者として治療だけではなく、予防医療の大切さを実感しています。
看護師として、統合医療施設での勤務経験あり。
ケアルーム"Naturan"にて、アロマトリートメントによるセラピストとしてクライアントさんのケアにも携わっています。

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