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森のようちえんの人気ぶりと、実際の効果

森のようちえんの人気ぶりと、実際の効果
「森のようちえん」とは、園舎や園庭を持たずに野外、森林の中で過ごす、いわば青空保育。雨天、降雪であっても、1年を通して毎日野外で過ごすことを、保育活動の基本としています。
現在、北欧デンマーク発祥の、森のようちえんと同様の活動が、日本でもその価値が再発見され、増えてきています。

北欧デンマークで発祥、ドイツでも人気!

森のようちえんの発祥は、北欧デンマーク。
1950年代の中頃に、「子どもたちに幼いころから自然と触れあう機会をあたえ、自然の中でのびのび遊ばせたい」という願いをもつひとりの母親、エラ・フラタウが、自分の子どもたちを連れて毎日森に出かけたのがその始まり。やがて、活動は次第に広まり、正式な幼稚園として認められました。

スカンディナヴィア(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)では、幼稚園児や保育園児の約1割が、ほぼ1日中戸外ですごしているといい、他の大方の園児もかなりの時間を戸外で過ごしているといいます。

また、デンマークの南に位置するドイツでは、1968年に最初の森のようちえんができました。当初はデンマークほど普及しませんでしたが、1990年代になって急速に増えていきました。ドイツでも正式な幼稚園として認可されています。
現在、北欧でも人気を博していますが、ドイツでは森のようちえんが1,000園以上もあり、その数は今も増えています。

日本の「森のようちえん」

日本では、1990年代から同様の活動が広まり始めました。2005年に第1回森のようちえん全国交流フォーラムが開かれ、2008年に森のようちえん全国ネットワークが設立されました。
全国ネットワークは、設立当初は個人会員と団体会員を合わせて68組の加入でしたが、2016年6月には250組に増加するなど、全国的に大きな広がりを見せています。
なお、全国ネットワークでは、森のようちえんを「自然体験活動を基軸にした子育て、保育、乳児・幼少期教育の総称」と定義しています。

全国ネットワークの会員以外でも、同様の活動を取り入れているところは多くあります。
横浜市都筑区の川和保育園には、園長たち自らが木を植えて、40年以上をかけて作った園庭があり、さながら小さな森のよそおいです。イチョウにケヤキにクルミほか、なんと41種60本もの樹々が植わっています。ツリーハウスもあれば、砂場は7つもあり、さらに“じゃぶじゃぶ池”まであります。3歳児以上は、園での時間の90%以上を園庭で過ごすということですので、まさに森の中での保育といったところでしょう。市内30学区もの広範囲から園児が通うほどの人気ぶりです。

森林環境の保育、教育効果

それでは、森のようちえんの保育、教育効果にはどのようなものがあるのでしょうか?
これまで、主に以下の報告があります。

①身近な森林環境を利用した、全人的な保育、教育活動を展開できる
②言葉の発達が、通常の保育園児よりも早い
③風邪などをひいても、長期欠席することが少ない
④夜間、安眠できる児童が多い
⑤感情が安定している
⑥五感の発達が促進される。手先が器用になる
⑦小学校入学後、友だち作りが上手く、協調性がある
⑧1人遊びもできる
⑨集中力や忍耐力などが育まれ、小学校入学後の学習面でも良好である

実際、ドイツでの研究では、母集団に差があるため正確な対比とはなりませんが、普通幼稚園出身者よりも森の幼稚園出身者の方が、小学校入学後の成績が良好だったという報告が出ています。特に「やる気」「耐久力」「集中力」「協調性」での評価が高くなっていました。

また、森林の保健休養効果に関する研究の第一人者である東京農業大学の上原巌教授は、森のようちえんの良さに関連して、以下の点を説明しています。

☑︎森林、自然での日常的な遊びは、「自然欠損障害(※)」と元気回復に対して効果がある
☑︎森林、自然での活動は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の療法としても有効に働き、薬物療法や行動療法の代わりになる

(※)自然欠損障害…自然体験が欠落、欠乏していることにより、人としてのあるべき発達が促されず、身体面だけでなく、感情面、感性などでも偏りや未発達がみられることを指す

筆者は小中学校ではスクールソーシャルワーカーとして活動し、日頃からさまざまな困難や課題を抱えた子どもたちに接することが多いのですが、森のようちえんの効果や良さを見るにつけ、今の子どもたちに不足しがちな力が森で育つことを大いに期待してしまいます。

ゲーム依存からの脱出にも最適

また、森のようちえんを調べていて、筆者の目をひいたのは、禁止事項の設定でした。
ドイツのアウスブルクの森のようちえんでは、たとえば以下のものが禁止となっています。

☑︎子どもたちに人気のキャラクターカードを持ってくることは禁止
☑︎キャンディー、チョコレートなど人工的なお菓子を持参することは禁止
☑︎流行りの外国語を使うことは禁止

1番目にキャラクターカードとありますが、こうした現代的なゲームの負の側面は、最近注目されてきています。
今年は、世界保健機関(WHO)が作成している国際疾病分類(ICD)の改訂の年ですが、そこに新たに「ゲーム障害」が収載される予定です。
そういった意味では、今年は「ゲーム依存」「スマホ依存」「ネット依存」などからの脱出元年となりそうです。

森林や自然は、ゲーム依存からの脱出や、デジタルデトックス(※)にも最適な環境です。
自然は、現代社会に生きる私たちに不足しがちな大切なものを補充してくれる、まさに天の恵みです。

(※)IT依存症を防ぐため、デジタル機器から一定期間離れる取り組み。



参考文献:上原巌ほか(2017)「森林アメニティ学 森と人の健康科学」朝倉書店


この記事を書いた人

新行内勝善(しんぎょううち かつよし)

心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。

東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。

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