今回は五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を用いた初夏の森林の楽しみ方を紹介します。
初夏(5月中旬〜6月)は、本格的な夏の暑さを迎える前で、木々の萌える季節です。
春に芽吹いた木々の葉の緑がいっそう鮮やかに空にのびてゆきます。
そして、あたたかな太陽を受けて、春とは異なる多くの花が咲きます。
また、6月中旬からは梅雨となり、曇りや雨の日が多く、ジメジメとした感じです。
外に出るのが億劫になる人も多くなる季節でもありますよね。
初夏における森林の特徴
その1:様々な花が咲きます桜を中心とする春に咲いた花々の後に、森林では、この初夏の時期にも様々な花が咲きます。
それぞれの花は開花している期間が長いという共通の特徴があります。
その2:6月中旬以降は雨が多く、晴れる日が少ない6月中旬以降の梅雨の時期は、梅雨入りした最初の何週間かはシトシトと静かに雨の降る日が多くなりますが朝夕と日中の温度が一定しています。
梅雨の半ば当たりになると雨続きの天気からいきなり真夏日がやってきます(=「梅雨の中休み」という現象)。
この梅雨の中休みに入ると晴れの天気が続き気温が一気に上昇します。
梅雨の後半では雨量が増し、豪雨が何日も続くこともあります。
これは台風が梅雨と重なってやってくることが原因と考えられています。
初夏の楽しみ方
多くの花を楽しみましょう
この季節は樹木の花に注目されることをお勧めします。
様々な種類の花を五感で楽しんでみましょう。
5月の連休を過ぎると、平野部の森林では香りがある多くの花が咲きます。
ホオノキ、ニセアカシア、ノイバラ、スイカズラ、エゴノキなどそれぞれ香りに特徴がありますので、ぜひ香りを楽しんでいただければ嬉しいです。
大きな花もたくさん出てきます。
先ほど登場したホオノキは野生の樹木の中で最大、同じモクレン科のタイサンボクやチューリップの花に似たユリノキも大きな花を咲かせます。
他にも小さな花が集まって大きな花序となっているトチノキ、ジャケツイバラもあります。
色の違いも様々です。
白い花、黄色い花、ピンク色の花、6月にはアジサイの花も見頃を迎え、青や紫色も加わります。
梅雨ならではの「香りが湧いてくる」こと
梅雨の時期の森林の中では、いろんな香りが晴れた日より強く感じることができます。
香りには様々なものがあります。
土の香り、葉や花の香りなど。
森の中では、場所が変わると香りも変わっていくのですが、雨の日はよりはっきりと感じます。
このことを称して「雨の日は香りが湧いてくる」と表現される方もいます。
最初からすぐに香りを感じることができない人もいますが、匂いを意識して歩いていると次第にいろんな香りに気づくようになります。
五感は使うことによって研ぎ澄まされます。
このことを「五感が開く」と表現する場合があります。
コケを見つけて触ってみましょう
水に濡れて美しく輝くコケは、雨の多いこの季節だからこそ楽しめるものの一つです。
いろいろな種類のコケの違いが際立ち、見た目でもとても面白いものです。
そして、ぜひ触ってみてください。
コケは様々な種類のものがあります。
それぞれ微妙に異なる手触りで、気持ちも良くなると思います。
様々な果実が登場し始めます
森の中では、6月になると桑の実が熟れる時期です。
黒く熟した実はとても美味しいです。
また、6月中旬になると食用のサクランボの時期にもなります。
ちなみに野生の桜にもいわゆるサクランボがこの時期できます。
残念ながら苦いので食用には不向きなのですが。
果実は、この時期のサクランボをはじめとし、スモモ、桃、なし、ぶどうと様々な果実を順に次々と楽しむことができます。
この時期は様々な虫が活動を始めます。
スズメバチ、アブやブヨ、蚊など気をつける必要があるものがあります。
夏の森林に入る場合は、長袖、長ズボンにするなど肌の露出は極力避けることが大事です。
特にスズメバチは黒や濃い色に反応するので、なるべく白や明るめの服装が良いです。
また様々な虫除けグッズも活用されることをお勧めします。
この記事を書いた人
高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。
植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。