先日11月13日(日)に箱根町宮城野で行われた『はこじょ森林セラピー®ラボ IN宮城野 〜食・運動・森の癒しで未病を改善〜』のレポートです。
その中から、筆者が講師となった「マインドフルネス森林セラピー体験」を主にお伝えします。
「あっ、ここに来てよかったな!!」
天気の変化、寒暖差の大きな時期でしたが、この日は、運良く、秋晴れ!!
天気が良いとそれだけでも心が晴れます。この日の紅葉はとても素晴らしく、一面紅葉ではなかったところにこそ、趣の深さが見られました。
緑から黄色へ、黄色から赤へと、徐々に華やかさを増していく自然のグラデーションに、思わず見とれてしまいました。
宮城野の会場となった「さくら館」の後ろに目を上げれば、右手には箱根大文字焼きで有名な明星ヶ岳(標高924m)、左手には明神ヶ岳(標高1,169m)とあり、緑多き山々のここそこに紅葉がとても素敵なアクセントとなっていました。
紅葉というのは、その背景に、豊かな山々の緑があってこそ映えてくるものなのだなと、あらためて実感しました。
「あっ、ここに来てよかったな」と心から思えた瞬間でした。
参加者と全体のプログラム
この日の参加者は、地元の方々は数名で、ほとんどの方は町外からの参加でした。
人数は満員御礼の30名程。残念ながら、定員オーバーでお申込みを受け付けられなかった方もいたそうです。
この日のプログラムは、1限目が全米公認パーソナルトレーナーの中村和也氏による『正しい姿勢で健康キレイを手に入れよう』、2限目が筆者(森林セラピスト)による『マインドフルネス森林セラピー体験で、こころ元気キレイ』、3限目が日本伝統食文化協会代表理事の袖山洋子氏による『葛でぽかぽか〜おなかからキレイ』でした。
マインドフルネス森林セラピー体験のプログラム
筆者が講師となった「マインドフルネス森林セラピー体験」のプログラムは、以下の通りです。
【プログラム】1. 心と身体の状態チェック
2. 森林散策 〜五感を使って、気づきを広げよう!〜
3. マインドフルネス体験 〜呼吸法やボディスキャン〜
4. 振り返り
それでは順を追って当日の様子をひとつずつご紹介していきます。
1.心と身体の状態チェック
まずは、心と身体の状態チェックで、「だ液アミラーゼ」によるストレスチェックから行いました。結果は、「ストレスの心配無し」の方が8—9割、「ストレスの心配がややあり」の黄色信号くらいの方が1—2割でした。参加者の方に聞いたところ、「宮城野に降りた途端、匂いが違う!」と感じられたそうで、「それだけで癒された、ストレスから解放された」、という方もいました。
次に、マインドフルネスへの導入も兼ね、簡単に自身で心と身体の状態を自己測定してもらいました。
2.森林散策 〜五感を使って、気づきを広げよう!〜
いよいよ、本日のメインのひとつ「森林散策」です。さくら館すぐ近くの早川沿いを散策しました。
ねらいは、普段使っている頭、思考から感覚へのスイッチ切り替え。五感を意識してもらうために、ワーク(課題)を行いました。
「今日の中で一番◯◯」を探すワークです。自分の外側と内側とで、それぞれに「今日の中での一番◯◯」を探します。早川沿いを各自思い思いに歩きながら、目でみて、鼻でかいで、手で触れて、耳で聞いて、そして心で感じて探しました。
参加者が探したものを聞いてみると、自分の外側では、「早川の水面が今日の中で一番キラキラしていた」 「アザミの花のトゲトゲが今日一番チクチクした」 「落ち葉を踏みしめて歩くのが今日一番フワフワしていた」などが出てきました。自分の内側では、「今日の中で一番解放された」「ワクワクした」など、様々なものが出てきました。
このワークについて、ここで、少し補足しましょう。
ポイントは五感の気づきを深めることですが、そのためにはいつもと同じ流れで歩くのではなく、いつもと違うリズムで歩くことが有効なのです。
例えばキャットウォーク、ネコが歩くときの歩き方を真似してみてください。
ネコは五感を意識しながら急がずに歩いていき、何か感じるところがあると動きを止め、ときには身をかがめ、さらに五感を意識します。
また、ネコは自分が心地よいところ、安心なところを見つけるのがとても上手です。
同じように、森林散策では、自然の中で自分の五感を意識しつつ、心地よさを、急がずマイペースで見つけていくとよいでしょう。
よろしければ是非お試しください。
3.マインドフルネス体験 〜呼吸法やボディスキャン〜
いよいよこの日のもうひとつのメインプログラム、「マインドフルネス体験」です。マインドフルネスについて簡単に説明をしてから、マインドフルネスの代名詞でもある「呼吸瞑想」の体験です。
呼吸瞑想に入る前に横隔膜のストレッチを行いました。精神的に緊張し過ぎると横隔膜がコチコチに固まってしまうことがあります。
そういったときにも効果的な横隔膜のストレッチです。
呼吸は肺で行いますが、肺には筋肉がないため、肺の下の横隔膜などを使って呼吸をしています。横隔膜のストレッチは、身体に息を吸いこみ、お腹が膨らんだ状態で1-2秒息を止めます。
このとき横隔膜が最も緊張しています。
そして、その後お腹の緊張を緩めて、身体から息を吐き出していきます。
息を吐き出したときが、横隔膜が一番ゆるんだ状態です。この緊張と弛緩が横隔膜のストレッチとなります。
続いて、呼吸瞑想です。まず、呼吸によるお腹の膨らみやへこみを意識しつつ、「ふくらみ、ふくらみ」「へこみ、へこみ」などと心の中で唱えながら呼吸を行います。
次に鼻を通る空気に意識を向け、空気の冷たさや温かさを感じてみます。
さらに、空気が鼻から入り、喉元を通り抜け、肺に入って、お腹が膨らんでいくところ、また、吐き出すときに、お腹がへこみ、肺、喉を空気が通って口から出ていくところ、この一連の呼吸のプロセスを心の中で実況生中継していきます。
最後は、手や腕に意識を向けていきます。そして、触覚の中で一番敏感な指先に意識を向け、皮膚の感覚を感じとってみます。
これらは全て、意識を自分自身の身体へと向け、五感を開きつつ、マインドフルネスに導くためのものです。
4.振り返り
このようにして、「森林セラピー」と「マインドフルネス」を体験しました。
最後に、はじめと同じように、心と身体の状態の自己測定です。結果は、おおむね良い状態に変化していました。
さらに多くの方々に森林セラピーやマインドフルネスを体験していただくため、自然豊かな箱根町に足を運んでいただきたいと心より実感した1日でした。
この記事を書いた人
新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。