今回は森の中でのお互いに認め合う話し合いのご紹介です。
実際に僕がコーディネート役となって実施して、とても評判の良かったものです。
内容は、小グループ(4〜5名が理想的)で、まず森の中をゆっくり歩き、五感を少し開きましょう。
そして森の中で輪になって座り、「コンプる」という話し合いをするものです。
終了後の感想としては、
「認められて元気や意欲が湧いてきた」
「過去・今の自分を受け入れられた」
「これから職場でプラスのアクションを起こしていくための気付きを得た」
等があり、元気をもらえていることがわかります。
「コンプる」とは何?
「コンプる」という言葉は、僕の知人が考えた造語です。
家庭や職場等で、がんばって生きている自分が、認められていると感じる言葉をもらうことが少ないという普段の現実。
ならば、皆でワイワイ集まって、お互いを認め合い、楽しくスッキリした気分になる時間を持とうではないか、という目的で始まったものです。
実際にはどのように進めるのか
その1 森の中をのんびり散歩して五感を開く「コンプる体験」の前にまずは、森林浴です。
五感を使いつつ会話を楽しみながら散歩します。
樟脳の香りがするクスノキや、甘い香りを周辺に醸し出すカツラの葉など、季節に応じた「森の香り」を感じたり、木々の形から様々なことを想像したり、きのこを見つけたり...
普段は閉ざされている五感の一部を少しずつ開いていきましょう。
森の木立の中をのんびり歩く皆の表情や会話も、出発前とは少しずつ変化してきます。
森の中では「素直な自分」「自然体の自分」に近づき、解放感を感じているのではないでしょうか
その2 「コンプる」の場所を確保します森の中で、話し合いをするためのスペースを確保します。
簡単な敷物を用意して、森の中の日陰に、輪になって座ります。
木立の中のスペースでもいいですし、芝生などの草地でも構いません。
もちろん森林内に木で出来た机や椅子など、皆が顔を見ながら座ることができる場所があればそれで十分です。
その3 話し合い(=コンプる)を開始します最近自分が「頑張った」「頑張っている」「うまくできた」と感じた事柄から話したいことを1つ選び、一人ずつ順番に全員の前で話をします。
困っていることや不安なこと等を発表の話題の選択肢にしないことが「コンプる」を実施する際のポイントです。
一人が発表した後、聴いていた人は、その内容に関して自由に質問することができます。
次に発表を聴いた人は全員が順番に、素直に感動・感嘆したことを発表者にフィードバックします。
このとき、自分の話にすり替えたり、批判等をしたりすることは厳禁です。
全員のフィードバックをもらった後、最後に発表者が、今、感じていることについて話をします。
一人の発表に対するこの一連の過程が1セット(約10分〜15分)となります。
コンプる(=話し合いの)内容例
話す内容としては、
「異動したはかりのストレスの多い職場で気持ちを切り替え、頑張っている自分」
「過去に持ち越した課題を新たな環境で再挑戦し、達成できた自分」
「家族のために 30年大切にしてきた自分の趣味を断ち、頑張っている自分」等々。
また、なかなか最近の「頑張った出来事」が思い浮かばない方には、
「あなたのプチ自慢を話す」
「あなたの『やった!』という体験を話す」ということでも大丈夫です。
森の中での話し合いの優位性
知らない人の前で自己開示することや、承認し合うことが苦手な人であっても、会議室のような無機質な空間と違い、森や緑といった自然の中では、不思議と心が解放され、安心した気持ちで「コンプる体験」ができるようです。
室内の話し合いに比べ、森の中の話し合いでは、普段では話しにくいと思われることでも話題にできたり、感想も一歩踏み込んだ内容になったりすることがあります。
公平性の確保に向けて
最初は難しいと感じる場合があると思います。
はじめて出会う方同士の話し合いも少し緊張しますが、知り合いの方同士で改まってこのような話をするのは照れ臭いかもしれません。
それでも単なる雑談やお互いが話したいことを勝手に話すのではなく、このような形での話し合いでは、お互いについての新たな気づきや、順番に話すことができることから公平性を確保することが期待できます。
この記事を書いた人
高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。
植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。