
「秋の養生と森林セラピー」落ち葉が語る、秋の養生法
森に一歩足を踏み入れると、空気の質が夏とはまるで違うことに気づきます。夏の蒸し暑さが過ぎ去り、秋のひんやりと透明感を帯びた空気が肌に触れ、深呼吸すると新鮮な空気が胸に広がり、とても爽やかな気分になりま...
前編に引き続き、森がもたらす恵みを楽しむ方法をご紹介いたします。後編では、箱根芦ノ湖森林セラピー基地の魅力と活かし方例をご紹介いたします。
ヘルスツーリズムという言葉を聞いたことがありますか?それは健康増進を主たる目的に置いた旅行のことで、様々な地域資源を活用して行われます。森林セラピーはヘルスツーリズムの側面があると言えます。
森林セラピー基地の近隣住民の方の参加もありますが、多くは旅行や日帰り旅行のように日常とは異なった場所へ出かけていって参加される方が多いです。「非日常」な環境へ移動することは「転地効果」があるといわれています。「転地効果」とはいつもと違った環境に身をおくことで得られるストレス解消やリラックス効果などをさします。簡単に言うと大きな気分転換です。
箱根芦ノ湖森林セラピー基地は、山々と富士山を望む芦ノ湖、活火山である箱根山、豊かな森林のほか、箱根十七湯と呼ばれる豊富な泉質と湯量を誇る温泉といった自然資源、東海道10番目の宿場町として栄え、箱根関所などの史跡もある、有名な観光地にあります。多くの人にとって「非日常」で、箱根に来るだけでも転地効果が望めそうです。
森林セラピーでは森林内のプログラムに留まらず、地域と連携して行うことも多く、箱根森林セラピーでは、プログラムの後、日帰り温泉の割引チケットを、独自に温泉と提携して参加者さんに配布し、立ち寄りをお勧めしています。また箱根芦ノ湖森林セラピー基地のセラピーロードの一つは芦ノ湖東岸で、箱根「九頭龍神社」があります。そこでの森林セラピーは、九頭龍ロードと九頭龍の森を歩き、大きな桜の木の下で芦ノ湖を眺めながらヨガをして、有名なパワースポットの箱根九頭龍神社を参拝します。
森林セラピー的な要素もありますが、もっと文化体験寄りのプログラムでは、わらじを履いて箱根の歴史を聴きながら散歩したり、写真家の先生に写真を教えていただいたりしながらスポットを歩く、というものもありました。
このように、健康のために黙々と森林を歩いたり、休息したりするだけではなく、転地効果や地域資源を活用したプログラムは、心から面白い、楽しいと感じやすいかもしれません。そしてそれは、定期的な森林セラピー参加の意欲につながるのではないでしょうか。
私たち人は、他の動物と同様に五感(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)を駆使して暮らし、命をつないできました。自然界で環境から情報を受けとり、生きるために必須の機能でした。五感は感覚器官でとらえているので脳への良い刺激となり、リラックスでき、それが免疫力をアップさせるともいわれています。
ところが、五感を普段意識して使う場面など少ない方が多いのではないでしょうか?または得意な感覚・不得意な感覚というのは個人差があるため、味にはうるさいとか、においには敏感、という方もいらっしゃるかと思います。しかし、五感はバランスよく刺激するのが望ましいといわれており、森林セラピーのプログラムはできるだけ、五感にまんべんなく刺激を入れられるように作っています。
まず安心安全な環境で、単純に感じることに意識を向けてみることです。このとき「いい匂いがするから嗅いでみなよ」と言われて嗅ぐよりも、嗅いでみて自分の感じたままに湧き上がる感想を感じるほうがより自然な反応です。
ですので、森林セラピストはあまり「川の爽やかなせせらぎに耳を澄ましてみましょう」といった誘導をしません。「耳を澄ましてみましょう」とだけ伝えると、「なんだろう?」と感心をもって耳を澄ますからです。このようなときも、川のせせらぎが「爽やか」かどうかということ以外に、葉擦れの音だったり、落ち葉を踏む音だったり、一番強く感じる音さえ人によって違っています。
このように個人差があるため、余計な情報をインプットしたり、頭で考えてしまったりしないほうが、五感を開きやすいでしょう。
日本は美しい四季に恵まれ、都会でも街路樹や公園や河川敷、フラワーショップ、庭木などから豊かな四季を感じることができます。ただ、見慣れてしまっているため何かきっかけがないと、感覚に意識を向けることが難しいかもしれません。
五感を開くきっかけに、いつもと違う環境、非日常さを感じずにはいられない場所へ出かけてみましょう。すると自分の意思にかかわらず、感覚に働きかけてくるものを感じやすくなります。
さらに森林セラピープログラムに参加すると、専門のガイドがつき、安心安全な環境で効果的に五感を開けるようになるでしょう。
季節は毎年訪れますが、年に1度です。何度もいつでもあるような気がしている季節は、50歳なら50回、そのうち記憶にのこるのはわずかではないでしょうか。実は数えられるほどしか体験できない季節を、そのときそのとき、等身大の自分の五感でゆったり、じっくり味わえたら、一層心ゆたかな暮らしになる気がしませんか?
* 執筆:麻羽たんぽぽ
(一社)はこねのもりコンソーシアムジャパン理事
(株)森と紙ひこうき代表
未病観光コンシェルジュ・森林セラピスト
JAMHA認定ハーバルセラピスト
和ハーブインストラクター・産業カウンセラー
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