
森は私たちのセラピスト〜七十二候が教えてくれる移りゆく自然の時間〜
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前編では、森が与えてくれる恵みには、私たち人間の「健康」に欠かせない成分がたくさんあります。そのような成分を、薬として、予防医学的な方法として、リラクゼーションとして、古来より日本人はどのように活用してきたのかご紹介いたしました。
フィトンチッドの濃度はその時の環境によって異なります。
フィトンチッドが多い時間帯は成分によって異なります。
以上のことから、フィトンチッドの恩恵を十分受けるには、針葉樹林では早朝、広葉樹林では日中が良く、森林の中央部付近で、寝転んだり座ったりして、深呼吸やリラクゼーションをするのが効果的でしょう。

中国には中医学の理論を背景とした生薬を食材として活かし健康に役立てる「薬食同源」の考え方があります。後漢時代のころにまとめられた『黄帝内経(こうていないけい)』には「五穀(麦・沗・稗・米・豆)は五臓を養い、五果(李・杏・大棗・桃・栗)は五臓の働きを助け、五畜(鶏・羊・牛・馬・豚)の肉は五臓を補い、五菜(韮・薤・葵・ネギ・藿)は五臓を充実させるため、多くの食材のバランス良く組み合わせることによって体の精気を補うことができる。」と記されています。 『神農本草経』に掲載されている365の生薬は、食材の四気(身体を温めるか冷やすかを表す「寒性・涼性・温性・熱性」)に区分されており、食材についても同様の考え方があります。薬食同源を実現する料理に薬膳料理があります。
写真は左から、クロモジ、ヤブニッケイ、カラスノエンドウ、ワラビ、ユキノシタ、ゼンマイ、ヨモギ、ノビル、イタドリ、クスノキ日本では、明治時代の日本の医師であり薬剤師であった 石塚左舷(いしづかさげん)氏の植物養生法で「春苦味、夏は酢の物、 秋辛味、冬は油と合点して食え」と教えています。日本の四季を食卓に取り入れる感覚ですね。
また「身土不二」という言葉がありますが、人にとって生まれついた風土のものほど自分の身体に合うものは、この世に二つとないという意味で、もとは仏教に 由来する言葉です。 それを食に当てはめて考えると、日本で生まれ育った私たちの心身に一番なじむものは、 日本の風土で育ち伝統的に使われてきた食材や和のハーブだということができます。
地元で季節の食材を取り入れるには、森林や里山に自生する山野草を採取して食べるという方法もあります。たとえば、セリやミツバ、ノビルのような香味野菜としてスーパーに並ぶものから、イタドリやタンポポ、スベリヒユ、ツクシ、ユキノシタ、といった野草や、ワラビ、ゼンマイ、フキノトウ、ウド、タラノメなど山菜として市販されているものなどあります。山野草好きの方は、栽培されたものより自生しているものの方が味濃く、野性味があって美味しいとよく言われます。
山野草の採取にあたっては、その土地の持ち主に許可を得たり、その土地が排気ガスや除草剤などの影響を受けていないことを確認したりしたうえで実施しましょう。また、毒草を間違えて採取しないよう事前に学び、慣れた方と一緒に採取を行いましょう。
森は多様な植物を育み、生き物たちに様々な恩恵を与えてくれています。その恩恵を人は上手に活用してきました。今回は緑の薬箱ということで、前後編にて心身の健康に与えてくれる恩恵についてまとめました。
森から生まれた緑の薬箱の恩恵は、ハーブやアロマセラピーなどで行うことができます。また、食事にすこしだけ薬膳や食養生の考え方を取り入れることもできます。身近な方法で緑の薬箱の恩恵を取り入れてみてはいかがでしょうか?
そして時にはその恵みが、森から生まれたのだということを思い出していただけたらと思います。
*参考文献
『森林セラピスト(森林健康指導士)養成・検定テキスト』
『森林セラピー検定副読本(ヘルスケア編)第Ⅱ版』
『和ハーブ にほんのわすれもの』
『和ハーブ にほんのたからもの』
*執筆:麻羽たんぽぽ
(一社)はこねのもりコンソーシアムジャパン理事
(株)森と紙ひこうき代表
未病観光コンシェルジュ・森林セラピスト
JAMHA認定ハーバルセラピスト
和ハーブインストラクター・産業カウンセラー

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