自然欠乏症候群とその処方箋 <前編> 〜はじまりは子どもたちから〜
ヒポクラテスの頃からそうだった?
皆さんの周りで、下記のチェックリストに当てはまりそうな子どもたちはいますか?
︎ 1.集中力がない。ひとつのことに集中できない。
︎ 2.落ち着きがなく、じっとしていられない。
︎ 3.忍耐力がなく、かんしゃくを起こす
︎ 4.他人に対する気遣いができず、友達とうまく遊べない
これは、リチャード・ループというアメリカの著述家が、2005年に出した『あなたの子どもには自然が足りない』という著書の中で提唱した「自然欠乏障害」の症状です。
この本でリチャード・ループは、「自然から遠ざかった」現代の子どもたちに、さまざまな精神不安定やそれに伴う症状がもたらされるということを指摘し、大きな話題を呼びました。
こういった指摘をしているのはリチャード・ループだけにとどまりませんが、最も古くさかのぼれば、医学の祖と言われている、古代ギリシャの医師ヒポクラテスとなるでしょう。
ヒポクラテスは、「人間は、自然から遠ざかるほど、病気に近づく」という言葉を残しています。
今から2,500年ほど前の古代ギリシャで、すでにそういったことが言われていたなんて…、驚きですね。
さらに、ヒポクラテスは、「人間が、ありのままの自然体で、自然の中で生活すれば、120歳まで生きられる」とも言っています。
自然から遠ざかりがちな生活をしている私たちへの警鐘とも受け取れます。
うつ病未満のうつ症状
冒頭にあげたチェックは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)という子どもの発達障害の症状とほぼ重なりますが、日本ではじめて『自然欠乏症候群』という著書を2014年に出した山本竜隆医師は、自然欠乏症候群は子どもに限らず大人にも広がってきていると指摘しています。
山本医師が指摘するそういった人々に共通してみられる症状は、
① 体がだるい
② 気力がわかない
③ 眠れない(もしくは睡眠の質が悪い)
といったものですが、これら3つはうつ病の代表的な症状でもあります。
しかしながら、このような人たちはクリニックに行っても、「数値的な異常はないとなると、『様子を見ましょう』などと言われ、睡眠導入剤や軽めの精神安定剤を処方される可能性がとても高い」と山本医師は指摘しています。うつ病未満のうつ症状、といったところでしょうか。
では、現代人、とりわけ都市生活者ほど多い傾向にあるという自然欠乏症候群を防ぐためにはどのようにしたらよいのでしょうか?
自然欠乏症候群ですので、欠乏した自然を日々の生活の中にどのように取り入れていくか、ということが鍵です。
そのための効果的な方法やコツ、さらには注意点など、次回の後編でお伝えしたいと思います。
参考文献:山本竜隆(2014)『自然欠乏症候群』ワニブックス
この記事を書いた人

新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。


