レジリエンス〜心の底力、ストレスから守ってくれる強さの正体〜
メンタルヘルスの仕事をしていると、そういった目で人を見ることがあります。
「この人、どのくらい強いのかな? どのくらいのストレス、持ちこたえることができるのかな?」と。
たとえば…
・ストレスを受けても、心がさほど揺れないかどうか?
・心が揺れたとしても、ほどなくして元の状態に戻れるかどうか?
・心が大きく揺れたとしても、心が折れずにいられるかどうか?
・心が折れたとしても、長引かずにまた元の状態に戻れるかどうか?
こういった視点で、心の底力があるかどうかを見ます。
そして、心の底力は、主に3つから成り立っています。
1.人間への基本的信頼感
2.心のエネルギー
3.ソーシャルスキル
1.人間への基本的信頼感
まずひとつは、人を信じられるかどうかです。
どうして人を信じられる人が強いかというと、人を信じられるからこそ、自分という人間をも信じることができるからです。
自分が好き、といってもいいでしょう。自分が好きな人は、底力があります。
もし誰かが自分を裏切ったり、見捨てたとしても、最後まで自分を見捨てずに、自分を見守ってくれる自分がいるからです。
「基本的信頼感」をつけるためには、小さい頃の、ある体験が必要です。
それは、身近にいる誰かから「大事に守られ」たり、「愛され」たり、「可愛がられ」たりする体験です。
こうした体験を通して、私たちは「人を信じても大丈夫なんだ」と思えるようになっていきます。
なお、小さい頃のある体験とは言いましたが、これは、小さい頃にもし無かったとしても、その後の人生で補完していくことができます。
2.心のエネルギー
心のエネルギーがある人には、底力があります。
心のエネルギーを涵養(かんよう)するために必要なのは、
①安心して過ごせる「居場所」、
②誰かに気持ちをよくわかってもらえること、
③充実感、
④承認、
などです。
①の居場所がないと心は休んだり元気をつけることができないため、疲弊していってしまいます。
②の自分の気持ちをよくわかってもらえることは、心にとっては実に大きな栄養となります。
同じように、③の充実感も心の大きなエネルギーになりますし、④の承認は心に勇気を与えます。
3.ソーシャルスキル
社会の中で自分ひとりだけで生きていくことができる人はいません。
このため、人と人の間で生きていくためのスキルであるソーシャルスキルを身につけている人は、強いです。
ソーシャルスキルには、たとえば以下のものがあります。
① 自己表現力
② 自己コントロール力
③ 状況判断力
④ 問題解決力
⑤ 親和的能力
⑥ 思いやり
さて、ここまで書いてきましたが、心の底力とは、心理学でいう「レジリエンス(回復力)」に近い概念でしょう。
レジリエンスを築く10の方法
アメリカ心理学会は、「レジリエンスを築く10の方法」を紹介しています。
① 家族や友人とのコネクション(良好な関係)づくり
② 危機を克服できると思うこと
③ 変えられない状況を受け入れること
④ 現実的なゴールをつくり、そのゴールに向けて動くこと
⑤ きっぱりと決断してアクションを起こすこと
⑥ 喪失の苦しみの後に、自己発見のチャンスを探すこと
⑦ 自分自身をポジティブに見ること
⑧ ストレスフルな出来事を、長い目で、大きな視点で見てみること
⑨ 希望に満ちた見解を持ち続けること
⑩ 自分自身を癒すこと
また、筑波大学名誉教授で日本精神保健社会学会会長である宗像恒次氏は、レジリエンスについて以下のように定義しています。
「レジリエンスとは逆境(ストレス)を克服する経験によって強化され、穏やかさ、寛容さ、明るさ、自信、優しさ、勇気などの環境への許容力からなる。それは、他者肯定感や自己肯定感を無自覚に生み出し、体の芯からあたたかい関係をつくりだす」
森は秋から冬に向かって寒さを増してきています。
寒さに負けないよう、体の芯からあたたかい関係をつくりだすことができるレジリエンスを高めていきたいものです。
この記事を書いた人

新行内勝善(しんぎょううち かつよし)
心理カウンセラー、森林セラピスト、精神保健福祉士。
東京メンタルヘルス社にて、メンタルヘルス相談や、心の病からの職場復帰をサポート。
職場復帰プログラムでは森林セラピーを導入。
また、スクールソーシャルワーカーとして小中学校の子どもたちと家庭をサポート。


